次の症例の経脈病証はどれか。「25歳の女性。先週から腰痛があり、うつむきや仰向けができない。季肋部の腫れや下腹部膨満感もある。咽喉の乾きや下痢がある。顔色はすすけて青黒い。」
正答:2
正答:2
うつむき・仰向けができない腰痛、季肋部の腫れ、下腹部の膨満、咽の乾き、下痢、顔色がすすけて青黒い、は足の厥陰肝経の経脈病証。正答は2。
足の経脈病証を、腰痛・季肋部・下腹部(少腹)・顔色・咽という手がかりで肝経に同定し、腎経(面黒・腰痛・咳喘)、膀胱経(項背腰・下肢後面)、胆経(口苦・ため息・側頭・体側)と区別できるか。
足の厥陰肝経は足の母趾から下腿・大腿内側を上り、陰器をめぐって少腹に至り、胃を挟んで肝に属し胆を絡い、横隔膜を貫いて脇肋に分布し、喉の後ろを上って目系につながり頭頂に至る。『霊枢』経脈篇の肝経の病証は、腰痛で俯仰(うつむき・仰向け)ができない、男子は疝気、女子は少腹の腫れ、甚だしければ嗌乾・面塵脱色(顔がすすけて色つやを失う)、胸満・嘔逆・飧泄(下痢)・狐疝・遺尿・閉癃。本例の腰痛で俯仰不能、季肋部(脇肋)の腫れ、下腹部膨満(少腹腫)、咽の乾き、下痢、顔色がすすけて青黒い、はこれにそのまま対応する。腎経の病証も面黒・腰痛を持つが、咳喘・喀血・飢えても食べたくない・座っていると立ち上がりたい、など呼吸と気力の症状が出て、季肋部や咽乾・下痢の組合せは肝経。
顔色の黒ずみは肝経(面塵=すすけて青黒い)と腎経(面黒)で重なる。区別は腰痛の性質(肝経は俯仰不能)、季肋部・少腹の症状(肝経)、咳喘・気力低下(腎経)。胆経は「くすむ」で口苦・ため息。第31回問102は同じ症例構成。
足の三陰経の病証:脾経は舌本の強ばり・食べると嘔吐・胃脘痛・腹脹・下肢内側の腫れ・第1趾の不用。腎経は面黒・咳喘喀血・飢不欲食・心悸・恐れ・腰痛・下肢内後側の痛み・足底の熱。肝経は腰痛俯仰不能・疝気・少腹腫・嗌乾・面塵脱色・胸満・嘔逆・飧泄・遺尿・閉癃。いずれも下肢内側を上るので下腹部・胸部の症状を持ち、固有の臓の症状で見分ける。
顔色の黒ずみと腰痛で腎経に誘導し、季肋部・少腹・咽乾・下痢で肝経に決めさせる。解法は、(1) 腰痛+俯仰不能、(2) 季肋部・少腹、(3) 嗌乾・飧泄・面塵、で肝経。
足の厥陰肝経は下肢内側から陰器・少腹を経て肝に属し、脇肋・咽・目系をめぐる。その病証は腰痛でうつむき仰向けができない、少腹の腫れ・膨満、咽の乾き、顔がすすけて色を失う、胸満、下痢、疝気。本例の腰痛俯仰不能・季肋部の腫れ・下腹部膨満・咽乾・下痢・顔色の青黒さは肝経病証。腎経は面黒に咳喘・気力低下、胆経は口苦・ため息、膀胱経は後面の痛みで区別する。