次の文で示す異常歩行に対して筋萎縮の予防を目的に低周波鍼通電療法を行う場合、治療穴の組合せとして適切なのはどれか。「つま先が上がりにくく、膝を高く上げた後、つま先から接地するように歩く。」
正答:4
正答:4
つま先が上がらず、膝を高く上げてつま先から接地する歩き方は下垂足(鶏歩)。背屈にはたらく前脛骨筋群の萎縮を防ぐには、その筋の上にある2穴で通電する。足三里と下巨虚はどちらも前脛骨筋中。正答は4。
異常歩行から麻痺した筋を割り出し、その筋の上に並ぶ経穴の組合せを選べるか。低周波鍼通電で筋萎縮を防ぐには、通電する2穴が同じ標的筋を挟んでいる必要がある。
つま先が上がらないのは足関節と足趾の背屈ができないためで、前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋の麻痺を示す。これらを支配するのは深腓骨神経。背屈できないぶん膝を高く持ち上げて振り出し、つま先から接地する歩容になる。筋萎縮の予防を目的とする低周波鍼通電では、標的筋の上に置いた2穴の間に電流を流して筋を収縮させるので、2穴とも前脛骨筋上にあることが条件になる。足三里は下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上で犢鼻の下方3寸、前脛骨筋中。下巨虚は同じ線上で犢鼻の下方9寸、やはり前脛骨筋。この2穴なら前脛骨筋を縦に挟める。
「下肢の麻痺だから下腿の穴」までは絞れても、前面か後面か内側かで迷う。歩容の記述を筋の作用へ翻訳するのが要点で、つま先が上がらない=背屈不能=下腿前面の伸筋群。委中・承山は下腿後面で、こちらは尖足(底屈拘縮)側の話。
深腓骨神経は総腓骨神経から分かれ、前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋・第三腓骨筋を支配し、知覚は第1・第2趾間の背側を担う。腓骨頭のすぐ下で総腓骨神経が絞扼されると下垂足になり、腓骨頭を圧迫する姿勢や下肢のギプス固定が原因になる。浅腓骨神経が障害されると長・短腓骨筋(外反)が落ちる。低周波鍼通電では、麻痺筋の萎縮予防に低頻度(1〜数Hz)で筋収縮を起こす設定が用いられる。
胃経の穴を並べつつ、大腿の穴(伏兎・陰市)と下腿の穴(足三里・下巨虚)を混ぜて、経絡が合っているだけの肢を作る。解法は、(1) 歩容→障害された運動→筋、(2) 各選択肢の2穴の解剖(どの筋の上か)を出す、(3) 2穴とも標的筋の上にある組合せを選ぶ。
つま先が上がらず膝を高く上げる歩き方は下垂足で、背屈筋である前脛骨筋群の麻痺による。筋萎縮を防ぐ低周波鍼通電では、標的筋の上の2穴で挟んで通電する。足三里(犢鼻の下方3寸)と下巨虚(犢鼻の下方9寸)はどちらも前脛骨筋中にあり条件を満たす。伏兎・陰市は大腿の伸展筋、委中・承山は下腿後面の底屈筋、地機・三陰交は下腿内側の筋で、いずれも背屈にはたらかない。