次の文で示す症例の拘縮がみられる筋に対する局所治療穴として最も適切なのはどれか。「73歳の女性。主訴は左股関節の痛み。3か月前から痛みがひどくなった。エックス線検査にて軟骨下骨の硬化、骨棘形成がみられた。トーマステストは陽性、トレンデレンブルグ徴候とエリーテストは陰性。」
正答:2
正答:2
軟骨下骨の硬化と骨棘は変形性股関節症。トーマステストだけが陽性なので拘縮しているのは腸腰筋。腸腰筋の上にある経穴は衝門。正答は2。
3つの整形外科的テストの陰陽から拘縮している筋を1つに絞り、その筋の上にある経穴を選べるか。陰性の2テストが除外に効く。
エックス線での軟骨下骨の硬化と骨棘形成は変形性関節症の所見。テストの読み方は、トーマステストが股関節屈筋(腸腰筋)の拘縮、エリーテストが大腿直筋の短縮、トレンデレンブルグ徴候が中殿筋の機能不全をみるもの。本例はトーマステストのみ陽性で、エリーテストとトレンデレンブルグは陰性なので、大腿直筋と中殿筋は除外され、腸腰筋の拘縮が残る。衝門は鼠径部、鼠径溝で大腿動脈拍動部の外方にあり、解剖は腸腰筋。したがって腸腰筋への局所治療穴になる。
股関節痛というだけで殿部の穴(居髎・秩辺)を選びがちだが、設問は「拘縮がみられる筋に対する局所治療穴」と限定している。3つのテストのうち2つが陰性であることが除外の情報で、陽性の1つが答えを決める。陰性所見を読み飛ばすと絞れない。
変形性股関節症は日本では臼蓋形成不全を基盤とする二次性が多い。進行すると屈曲・内転・外旋位の拘縮が生じ、脚長差と跛行が出る。トーマステスト=仰臥位で対側の股関節を屈曲させたとき患側の大腿が持ち上がれば陽性で屈筋拘縮。エリーテスト=腹臥位で膝を屈曲したとき殿部が持ち上がれば大腿直筋の短縮。トレンデレンブルグ徴候=片脚立位で遊脚側の骨盤が下がれば支持側の中殿筋の機能不全。
股関節まわりの経穴を4つ並べ、テストの陰性所見を読ませて2肢を消させる。解法は、(1) 各テストが何の筋をみるかを対応させる、(2) 陰性テストの筋を消す、(3) 陽性テストの筋の上にある経穴を選ぶ。
軟骨下骨の硬化と骨棘は変形性股関節症の所見。トーマステスト陽性は腸腰筋の拘縮を示し、エリーテスト陰性で大腿直筋、トレンデレンブルグ陰性で中殿筋が除外される。残るのは腸腰筋で、その上にある経穴は鼠径部の衝門。居髎は大腿筋膜張筋・中殿筋、秩辺は大殿筋・中殿筋、髀関は大腿直筋を含む3筋の間で、いずれも除外された筋にあたる。