次の文で示す症例の原因となる筋への治療穴として最も適切なのはどれか。「13歳の男子。サッカーをしており、最近になり膝前下部の運動時痛と腫脹が認められた。」
正答:1
正答:1
13歳でスポーツをしており膝の前下部が運動時に痛んで腫れる。脛骨粗面の骨端症(オスグッド病)で、引っぱっているのは大腿直筋。大腿直筋の上にある経穴は髀関。正答は1。
年齢・部位・運動歴から骨端症を見抜き、牽引している筋を特定して、その筋の上にある経穴を選べるか。
脛骨粗面には大腿四頭筋が膝蓋腱を介して付着する。成長期には脛骨粗面に骨端核があり力学的に弱いため、ジャンプやダッシュを繰り返すと牽引によって骨端核が剥離しかけ、痛みと腫脹が出る。これがオスグッド・シュラッター病で、膝前下部(脛骨粗面)に限局した運動時痛と隆起が特徴。牽引の主体は大腿四頭筋、なかでも二関節筋で股関節からも張力がかかる大腿直筋。髀関は大腿前面、大腿直筋と縫工筋と大腿筋膜張筋の近位部の間の陥凹部にあり、解剖に大腿直筋を含む。箕門は大腿内側で縫工筋と長内転筋の間、豊隆は下腿前外側で前脛骨筋・長趾伸筋、三陰交は下腿内側で後脛骨筋・長趾屈筋の上にあり、いずれも大腿直筋には届かない。
「膝の痛みだから膝まわりの穴」と考えると下腿の穴を選びやすい。設問は「原因となる筋への治療穴」なので、痛む場所ではなく引っぱっている筋の上を選ぶ。脛骨粗面を引くのは大腿四頭筋で、その中で股関節をまたぐのが大腿直筋。
成長期の骨端症は付着部ごとに名前がつく。脛骨粗面=オスグッド・シュラッター病、膝蓋骨下極=シンディング・ラルセン・ヨハンソン病、踵骨隆起=シーバー病、上腕骨内側上顆=リトルリーグ肘。いずれも骨端核が閉鎖するまでの時期に、牽引ストレスの繰り返しで起こる。指導は大腿四頭筋のストレッチと運動量の調整が中心で、骨端線が閉鎖すれば多くは軽快する。
下肢の経穴を膝の上下に散らして、痛む部位に近い穴を選ばせる。解法は、(1) 年齢と部位から病態を決める、(2) その部位を牽引している筋を出す、(3) その筋の上にある経穴を、解剖欄で確認して選ぶ。
13歳・スポーツ・膝前下部の運動時痛と腫脹はオスグッド病(脛骨粗面の骨端症)。脛骨粗面を膝蓋腱経由で引っぱるのは大腿四頭筋で、股関節もまたぐ大腿直筋が原因筋になる。大腿直筋の上にある経穴は大腿前面の髀関。箕門は大腿内側の縫工筋・長内転筋、豊隆と三陰交は下腿の穴で、いずれも原因筋には届かない。