次の文で示す患者の病証に対して十二刺の刺法に基づき治療する場合、刺鍼部位の指標となるのはどれか。「足先の強い冷えを感じ、ときには腰まで冷えが上ってくる。下痢をしやすい。」
正答:3
正答:3
足先から腰まで上ってくる強い冷えと下痢は寒厥。十二刺のうち陰刺は左右の太渓に刺して寒厥を治すもので、太渓は後脛骨動脈拍動部に取る。正答は3。
十二刺の1つである陰刺の適応と用いる経穴を知り、さらにその経穴の取り方を動脈の拍動という解剖の指標で答えられるか。
十二刺は『霊枢』官鍼篇にある12種の刺法で、そのうち陰刺は左右一対の穴に刺す方法で寒厥に用いるとされ、具体的には左右の太渓に刺す。寒厥は下肢の冷えが体幹側へ上ってきて下痢を伴うもので、腎陽の不足が背景にある。太渓は腎の原穴で、部位は足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部。取り方は、内果尖とアキレス腱との間で後脛骨動脈拍動部に取る、と規定されている。したがって刺鍼部位の指標は後脛骨動脈拍動部。大腿動脈拍動部は鼠径部(気衝・衝門のあたり)、膝窩動脈拍動部は委中、足背動脈拍動部は衝陽にあたる。
刺法の名前(陰刺)と適応(寒厥)と用いる穴(太渓)と取り方(後脛骨動脈拍動部)という4段階のどこか1つが欠けると答えられない。近年は経穴の取り方を解剖学的な指標で問う形が増えており、動脈拍動部を指標にする経穴をまとめて押さえておくと効く。
動脈拍動部を取り方の指標にする代表的な経穴:太渓=後脛骨動脈、衝陽=足背動脈、委中=膝窩動脈、気衝・衝門・箕門=大腿動脈、太淵=橈骨動脈、極泉=腋窩動脈、人迎=総頸動脈、大迎=顔面動脈。十二刺は偶刺・報刺・恢刺・斉刺・揚刺・直鍼刺・輸刺・短刺・浮刺・陰刺・傍鍼刺・賛刺の12種で、それぞれ適応する病態が決まっている。
動脈の拍動部を4つ並べ、どれも実在の経穴の指標にする。解法は、(1) 病態(寒厥)から刺法を決める、(2) その刺法が用いる経穴を出す、(3) その経穴の取り方に書かれた指標を選ぶ。
足先から腰まで上ってくる冷えと下痢は寒厥で、十二刺の陰刺が適応する。陰刺は左右の太渓に刺す方法。太渓は腎の原穴で、足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部にあり、取り方の指標は後脛骨動脈拍動部。大腿動脈拍動部は気衝や衝門、膝窩動脈拍動部は委中、足背動脈拍動部は衝陽の指標で、いずれも太渓ではない。