「45歳の女性。主訴は倦怠感。1か月前より強くなった。寒がりで、動作が緩慢である。食欲低下、便秘、月経過多、徐脈を認める。」最もみられる身体所見はどれか。
正答:2
正答:2
倦怠感・寒がり・動作緩慢・食欲低下・便秘・月経過多・徐脈という所見は、甲状腺ホルモン分泌低下による甲状腺機能低下症(原因として慢性甲状腺炎=橋本病が最多)を示す。この病態で最もみられる身体所見は甲状腺の腫れ(頸部腫脹)である。
全身倦怠感を主訴とする症例から基礎疾患(甲状腺機能低下症)を推定し、その診察で確認すべき身体所見を選べるかを問う。基礎代謝低下に伴う所見の方向(亢進か低下か)を取り違えないことが核心。
教科書は甲状腺機能低下症を、甲状腺ホルモンまたはTSHの分泌低下で多様な症状をきたす病態とし、原因として橋本病(慢性甲状腺炎)の頻度が最も高いとする。甲状腺ホルモンは全身の基礎代謝に影響するため、全身倦怠感・易疲労感・食欲減退などが出現する。鍼灸臨床の診察では『視診として甲状腺の腫れ』『触診として甲状腺の大きさと硬さ』を確認するとされ、これが頸部腫脹に対応する。別章でも甲状腺機能低下症の所見として全身倦怠感・徐脈・低体温・浮腫(圧痕なし)が挙げられており、本症例の徐脈とも整合する。
甲状腺機能『低下』症と『亢進』症(バセドウ病等)の所見が真逆になる点が最大の混同源。低下症は寒がり・動作緩慢・徐脈・便秘・体重増加・非圧痕性浮腫、亢進症は暑がり・頻脈・体重減少・眼球突出など。本症例は寒がり・徐脈・動作緩慢で『低下症』の像。浮腫の圧痕性/非圧痕性の区別も狙われやすい。
甲状腺ホルモンは全身の基礎代謝を規定するため、低下すると代謝が全般に落ちる。教科書では低下症の所見として全身倦怠感・易疲労感・嗄声・食欲減退・皮膚乾燥・徐脈・低体温・非圧痕性浮腫が挙がる。本症例の倦怠感・寒がり・動作緩慢・食欲低下・便秘・徐脈はいずれも代謝低下で説明できる。診察の要点は甲状腺の視診・触診(腫れ・大きさ・硬さ)であり、頸部腫脹がその直接の所見となる。確定には血液検査で甲状腺ホルモン低下・TSH高値を確認する。
代謝『亢進』の所見(体重減少・反射亢進・頻脈)を、症状が強い=活動性が高いと誤連想して選ばせる罠。本症例は徐脈・動作緩慢という『低下』の決め手があるため、亢進方向の選択肢(体重減少・深部反射亢進)は除外できる。浮腫は『圧痕性か非圧痕性か』で甲状腺機能低下症は非圧痕性、という区別も罠。
甲状腺機能低下症の像を一括整理:倦怠感・易疲労・寒がり・動作緩慢・食欲低下・便秘・徐脈・低体温・非圧痕性浮腫・体重増加傾向。診察=甲状腺の視診触診(頸部腫脹)、検査=甲状腺ホルモン低下/TSH高値。亢進症(頻脈・体重減少・眼球突出)との真逆対比をセットで覚える。