「72歳の男性。主訴は頻尿。難聴がある。トイレは我慢できるが、夜間に少量の尿失禁があり、前立腺肥大症と診断された。以前から腰が冷えてだるい。舌は淡、脈は弱を認める。」病態として最も適切なのはどれか。
正答:1
正答:1
前立腺肥大症で尿の出口が狭くなり、膀胱に尿が溜まりきって少しずつあふれる。尿意は我慢できるのに夜間に少量漏れるという経過は溢流性尿失禁。正答は1。
尿失禁の4分類を、漏れ方と背景疾患から見分けられるか。「我慢できる」という記述が切迫性を明確に否定している。
尿失禁は不随意の尿漏れで、機序によって4つに分かれる。溢流性尿失禁は、下部尿路の閉塞や排尿筋の収縮不全で尿が出しきれず、膀胱内に大量に残った尿が括約筋の保持できる限界を超えて少しずつあふれ出るもの。前立腺肥大症は代表的な原因で、少量ずつ持続的に漏れるのが特徴。本例は前立腺肥大症と診断され、尿意は我慢できるのに夜間に少量の失禁があるという経過で、これに一致する。切迫性尿失禁は、突然強い尿意に襲われトイレまで持たずに漏れるもので、我慢できるという記述と矛盾する。反射性尿失禁は、仙髄よりも上のレベルで脊髄が損なわれて上位からの抑制が効かなくなり、わずかに溜まっただけで反射的に排尿が起きるものを指す。腹圧性尿失禁は咳・くしゃみ・重い物を持つなど腹圧がかかったときに漏れるもので、中高年女性に多い。
前立腺肥大症は頻尿・夜間頻尿も起こすので、切迫性と溢流性の区別が要る。分岐は「我慢できるか」と「漏れ方」。我慢できず一気に漏れるなら切迫性、我慢できるのに少量ずつ漏れるなら溢流性。前立腺肥大症では過活動膀胱を合併して切迫性が加わることもあるが、本問は我慢できると書いて溢流性へ確定させている。
尿失禁の4分類:腹圧性=骨盤底筋のゆるみ、経産の中高年女性に多い。切迫性=排尿筋の不随意収縮(過活動膀胱)、脳血管障害や膀胱炎など。溢流性=下部尿路閉塞(前立腺肥大症)や排尿筋収縮不全(糖尿病性神経障害)で残尿が大量。反射性=仙髄より上位の脊髄損傷で、膀胱に少し溜まると反射的に排尿。機能性尿失禁(移動や認知の問題でトイレに間に合わない)を加えて5分類とすることもある。
4分類すべてを並べ、背景疾患だけで飛びつかせる。前立腺肥大症=溢流性という短絡でも正解にはなるが、根拠は「我慢できる」「夜間に少量」という漏れ方の記述。解法は、(1) 漏れる状況(腹圧時か尿意時か持続か)を読む、(2) 尿意の切迫の有無を読む、(3) 背景疾患で確認。
尿失禁は漏れ方で分類する。前立腺肥大症で尿路が狭くなると膀胱に尿が溜まりきり、括約筋が保持できる限界を超えた分が少しずつあふれる。これが溢流性尿失禁で、尿意は我慢できるのに夜間に少量漏れるという本例の経過に合う。切迫性は我慢できずに漏れる型、反射性は仙髄より上位の脊髄障害、腹圧性は腹圧上昇時で、いずれも本例と異なる。