「24歳の女性。月経開始から2日間ほど月経痛が激しく、吐き気がある。腰痛もあるが、特に下腹部痛が強く憂うつになる。不正性器出血や月経周期の異常はなく、器質的な障害もない。」下腹部痛の原因に最も関与するのはどれか。
正答:4
正答:4
器質的な異常がなく月経開始直後に強い痛みが出る機能性月経困難症。子宮内膜で作られるプロスタグランジンが子宮を過剰に収縮させるのが主因。正答は4。
機能性月経困難症の痛みが、どの生理活性物質によるかを言えるか。他の3つはいずれも実在のホルモン・伝達物質で、はたらく場面が違う。
月経期には子宮内膜でプロスタグランジンが産生され、子宮平滑筋を収縮させて内膜と経血の排出を促す。この産生が過剰になると子宮の収縮が強くなりすぎ、子宮筋の虚血も加わって下腹部痛や腰痛が生じる。プロスタグランジンには痛覚を増強するはたらきもあるため、痛みがさらに強く感じられる。不正性器出血も月経周期の異常もなく器質的な障害もないという記述は、子宮内膜症や子宮筋腫などによる器質性ではなく機能性であることを示しており、機能性月経困難症の主因がプロスタグランジンであることに一致する。ヒスタミンはアレルギー反応や炎症で血管透過性を高める物質、アドレナリンは副腎髄質から出る交感神経系のホルモン、オキシトシンは下垂体後葉から出て分娩時の子宮収縮と射乳に関わる。
オキシトシンも子宮を収縮させるので紛らわしいが、はたらく場面は分娩と授乳。月経痛の文脈で問われるのはプロスタグランジン。非ステロイド性抗炎症薬がプロスタグランジンの産生を抑えることで月経痛に効く、という薬理と結びつけると覚えやすい。
月経困難症は機能性(器質的疾患を伴わない)と器質性(子宮内膜症・子宮筋腫・子宮腺筋症など)に分かれる。機能性は初経後数年の若年に多く、月経開始直後から1〜2日がピークで、経血の排出とともに軽快する。器質性は年齢が上がるにつれて増え、月経期以外の慢性骨盤痛や性交痛を伴うことがある。プロスタグランジンには、子宮を収縮させるほかにも、痛みを強める作用、体温を上げる作用、胃の粘液分泌を促す作用など幅広いはたらきがある。
子宮に作用する物質(オキシトシン)を紛れ込ませ、作用する場面の違いで判別させる。解法は、(1) 器質性か機能性かを判定、(2) 機能性なら子宮内膜由来の物質を想起、(3) 他の肢がどの場面ではたらくかを1つずつ確認。
不正性器出血も周期異常も器質的障害もない月経痛は機能性月経困難症。月経期に子宮内膜で作られるプロスタグランジンが子宮平滑筋を過剰に収縮させ、痛覚も増強するため強い下腹部痛が生じる。ヒスタミンは炎症・アレルギー、アドレナリンは交感神経系の反応、オキシトシンは分娩と授乳が主な場面で、いずれも月経痛の主因ではない。