次の文で示す患者の病証で最も適切なのはどれか。「46歳の男性。主訴は肩こり。1年以上テレワークで外出機会が減少し、ストレスを感じている。胸肋部痛と喉のつかえ感を伴う。」
正答:2
正答:2
ストレスによる情志の失調、胸脇部の脹痛、喉のつかえ感(梅核気)はいずれも肝鬱気滞の所見。正答は2。
症例から気滞を同定し、陰虚・湿熱・血虚と区別できるか。梅核気という気滞に特徴的な症状を知っているか。
肝は疏泄により気機をのびやかに保つ。長期のテレワークで外出が減り、ストレスが続くと情志が失調して疏泄が乱れ、気が滞る(肝鬱気滞)。気滞では、気の通り道が張って苦しくなるので、肝経が分布する胸脇部に脹痛が起こり、肩や首のこりが出る。喉のつかえ感は、滞った気が咽喉部で結んだもので梅核気と呼ばれ、飲み込めもせず吐き出せもしない特徴的な症状。気滞の症状は情志の変動で増悪・軽減し、脈は弦。陰虚なら五心煩熱・盗汗・舌紅少苔・脈細数、湿熱なら口苦・口粘・身重・黄膩苔・脈滑数、血虚なら顔色萎黄・眩暈・不眠・爪の脆さ・脈細が出るが、本例にこれらの記載はない。
肩こりという主訴だけでは病証が決まらない。決め手は背景(ストレス・外出機会の減少)と随伴症状(胸脇部痛・梅核気)。梅核気は気滞に特徴的なので、この語が出たら気滞を第一に考える。脹痛(張って苦しい痛み)は気滞、刺痛(刺すような固定痛)は血瘀と痛みの質でも分けられる。
肝鬱気滞の全体像:胸脇・乳房・少腹の脹痛、胸悶、太息、抑鬱、急躁、梅核気、月経不順、脈弦。気滞が長引くと血瘀(気滞血瘀)、化火(肝火上炎)、痰との結合(梅核気の悪化)へ伝変する。治療は疏肝理気で太衝・期門・内関・膻中・合谷・陽陵泉など。生活指導は情志の調整と適度な運動で気をめぐらせること。
肩こりという一般的な主訴から入り、背景と随伴症状で病証を絞らせる。解法は、(1) 背景=ストレス・情志、(2) 随伴=胸脇脹痛・梅核気、(3) 気滞。
長期のストレスで肝の疏泄が乱れて気が滞ったのが肝鬱気滞。肝経が分布する胸脇部に脹痛が出て、滞った気が咽喉で結ぶと喉のつかえ感(梅核気)が現れ、肩や首のこりも伴う。症状は情志で変動し脈は弦。陰虚は虚熱、湿熱は口苦・身重・黄膩苔、血虚は顔色萎黄・眩暈で区別する。梅核気は気滞の目印。