次の文で示す病証の治療原則で最も適切なのはどれか。「慢性の眩暈と頭痛、目の充血、のぼせ、腰がだるく力が入らない。脈は弦細数を認める。」
正答:3
正答:3
上部の実(眩暈・頭痛・目の充血・のぼせ)と下部の虚(腰がだるく力が入らない)が同時にあり、脈も弦(肝)+細数(陰虚)。肝腎陰虚を本とする肝陽上亢で、治療原則は虚を補い実を瀉す補虚瀉実。正答は3。
症例を虚実挟雑(本虚標実)と読み、治療原則の用語(瀉実・補虚瀉実・急則治標・因地制宜)から適切なものを選べるか。
慢性の眩暈・頭痛・目の充血・のぼせは、肝陽が上に亢ぶって気機が上昇した標の実。腰がだるく力が入らない(腰膝酸軟)は腎虚による本の虚。脈の弦は肝胆の病を、細数は陰虚を示し、両方が同時に出ている。すなわち肝腎陰虚を土台に肝陽が亢進した肝陽上亢で、虚と実が併存する。治療原則は、不足を補いながら過剰を瀉す補虚瀉実(滋陰と平肝潜陽を併用)。瀉実は実証のみに用いる原則で、本例の虚を放置してしまう。急則治標は、病勢が急で標をそのままにすると本まで悪化してしまう場合に、まず標を処置する原則。本例は慢性の経過なので当たらない。因地制宜は土地や環境に応じて治療を変える原則(三因制宜の一つ)で、本例の虚実の構造とは関係しない。
「目の充血・のぼせ」だけを見て実証と判断すると瀉実を選んでしまう。脈の弦細数のうち「細」を読み落とさないこと。細は虚(血虚・陰虚)を示す。慢性か急性かの記載は急則治標を外す手がかり。標本・緩急の原則(急則治標、緩則治本、標本同治)も併せて整理する。
治療原則には、治病求本、標本緩急(急則治標・緩則治本・標本同治)、扶正祛邪(補虚・瀉実・補瀉兼施)、調整陰陽、三因制宜(因時・因地・因人)がある。肝陽上亢の治療は滋補肝腎(太渓・三陰交・腎兪・肝兪に補法)と平肝潜陽(太衝・行間・風池・百会に瀉法)を組み合わせる。
上部の熱症状を強く書いて実証と読ませ、下部の虚と脈の細で虚を混ぜる。解法は、(1) 上下で症状を分ける、(2) 脈の弦細数を分解(弦=肝、細=虚、数=熱)、(3) 虚実併存→補虚瀉実。
慢性の眩暈・頭痛・目の充血・のぼせは肝陽が上亢した標の実、腰がだるく力が入らないは腎虚の本の虚、脈の弦細数は肝+虚+熱を示す。あわせて肝腎陰虚を土台とする肝陽上亢で、治療原則は補虚瀉実(滋陰と平肝潜陽の併用)。瀉実だけでは虚を損ない、急則治標は急性向け、因地制宜は環境に応じる原則で当てはまらない。