次の文で示す病証の病理で正しいのはどれか。「48歳の男性。3か月前に新型コロナウイルス感染症で30日間入院した。退院後も乾いた咳嗽が続き、粘稠性で黄色の痰が少量出る。また手足がほてり、頰が紅い。」
正答:3
正答:3
温熱病の後に乾いた咳が続き、痰は少量で粘稠・黄色、手足のほてりと頬の紅潮を伴うのは、熱病により肺の陰液が損傷された肺陰虚。正答は3。
咳嗽の性状(乾いた咳・少量で粘稠な痰)と全身の虚熱所見(手足のほてり・頬紅)から陰虚を同定し、気虚・外感・痰湿と区別できるか。
肺は潤いを好む嬌臓で、温熱病(発熱を伴う感染症)が長引くと肺の陰液が損傷される。肺陰が不足すると宣発・粛降が失調して肺気が上逆し、咳嗽が起こる。この咳は潤す津液が乏しいため乾いた咳となり、痰は少量で粘稠、虚熱のために黄色くなり、血が混じることもある。全身には虚熱の所見として手足のほてり(五心煩熱・手足心熱)、頬部紅潮、盗汗、口や咽の乾きが現れ、舌は紅で少苔、脈は細数。設問の4徴はこの記述に逐語的に一致する。肺気の不足なら痰は薄く多量で息切れ・自汗・声の無力が主、風寒の侵襲なら発症が急で悪寒・水様の鼻汁・白い痰、痰湿の停留なら痰が多く白くべたつき胸苦しさと膩苔が出る。
黄色の痰を見て実熱(痰熱)を選びたくなるが、量が少なく粘稠で乾いた咳を伴い、全身に虚熱の所見(手足のほてり・頬紅)がある点で陰虚と決まる。実熱の痰熱なら痰は多く黄色く粘り、舌苔は黄膩で脈は滑数。経過が3か月と長いことも慢性の内傷(陰虚)を支持する。
咳嗽の弁証:外感(風寒犯肺・風熱犯肺・燥邪犯肺)と内傷(肺気虚・痰湿阻肺・肝火犯肺・肺陰虚・肺腎陰虚)に分ける。肺陰虚は温熱病の回復期や慢性疾患にみられ、乾いた咳・少量粘稠の痰・血痰・虚熱の所見を示す。治療は滋陰潤肺で、肺兪・太淵・尺沢・三陰交・太渓・膏肓に補法。腎陰も不足すれば肺腎陰虚となり腰膝酸軟・耳鳴を伴う。
黄色の痰で実熱へ、咳という主症で外感へ誘導する。解法は、(1) 経過の長さを確認(3か月=慢性)、(2) 痰の量と性状(少量・粘稠=陰虚)、(3) 全身の虚熱所見(手足のほてり・頬紅)で確定。
温熱病が長引くと肺の陰液が損傷され、肺陰虚となる。宣発・粛降の失調で咳が起こるが、潤いが乏しいため乾いた咳となり、痰は少量で粘稠、虚熱により黄色や血痰になることもある。全身には手足のほてり・頬紅・盗汗が現れ、舌は紅で少苔、脈は細数。肺気虚は薄く多い痰と息切れ、風寒は急性の外感、痰湿は多く白い痰で区別する。