腹部の筋について最も適切なのはどれか。
正答:4
正答:4
外腹斜筋の停止腱膜の下縁が折れ返って厚くなったものが鼠径靱帯。正答は4。
腹壁の3層の筋の作用・神経支配と、鼠径部の構造の由来を言えるか。
腹壁の側面は外側から外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋の3層からなり、いずれも前方で腱膜となって腹直筋鞘をつくる。外腹斜筋の腱膜の下縁は、上前腸骨棘と恥骨結節の間で後方へ折れ返って厚みを増し、鼠径靱帯となる。したがって記述4が正しい。誤肢は作用・神経・由来の誤りである。腹筋群が収縮すると腹圧が上がり胸腔が狭まるので、働くのは呼気(とくに努力呼気)で、吸気ではない。腹直筋の支配は肋間神経(第5〜第12胸神経の前枝)で、腰神経ではない。精巣挙筋は、精索が腹壁を通り抜けるときに内腹斜筋の下部の筋束が引き出されてできたもので、腹横筋ではない。
腹壁の筋は3層あり、どれがどの構造をつくるかが混ざりやすい。鼠径靱帯=外腹斜筋(最も外側)、精巣挙筋=内腹斜筋(中間)、と外側から順に対応させると覚えやすい。呼吸筋の分類も、横隔膜と外肋間筋が吸気、内肋間筋と腹筋群が呼気、と2つに割る。
鼠径管は鼠径靱帯の上を斜めに走るトンネルで、男性では精索、女性では子宮円索が通る。ここが弱いと鼠径ヘルニアが生じ、下腹壁動脈の外側から脱出するのが外鼠径ヘルニア(間接型)、内側から脱出するのが内鼠径ヘルニア(直接型)。腹直筋は腱画で区切られ、いわゆる腹筋の割れ目をつくる。腹横筋は最深層にあり、収縮すると腹壁を内側へ引き締めるので、体幹の安定に関わる筋として運動療法で重視される。
腹壁の3層のどれがどの構造をつくるかを入れ替え、作用と神経支配も1肢ずつ混ぜる。解法は、(1) 3層を外側から並べる、(2) 各構造の由来を対応させる、(3) 呼吸での役割と神経支配を別に確認する。
鼠径靱帯は外腹斜筋の停止腱膜の肥厚部。内腹斜筋は吸気ではなく呼気、腹直筋は腰神経ではなく肋間神経、精巣挙筋をつくるのは腹横筋ではなく内腹斜筋。腹壁の3層と由来する構造を外側から順に対応づける。