手根管症候群の原因とならないのはどれか。
正答:3
正答:3
手根管症候群は手根管の内圧が上がって正中神経が圧迫されるもの。貧血は内圧を上げる要因にならない。誤りではなく「原因とならない」を選ぶ設問で、正答は3。
手根管の中で何が起こると正中神経が圧迫されるかを、原因の機序から説明できるか。
手根管は、手根骨と屈筋支帯で囲まれた狭いトンネルで、指の屈筋腱と正中神経が通る。この中の圧が上がると正中神経が圧迫され、母指から環指橈側のしびれと、進むと母指球の萎縮(猿手)が起こる。内圧が上がる原因は、腱鞘の滑膜が厚くなる(使いすぎ、関節リウマチ)、むくみで容積が増える(妊娠、肥満、甲状腺機能低下症)、異物が溜まる(人工透析に伴うアミロイド沈着、ガングリオン、腫瘍)、骨折や脱臼による変形など。したがって肥満・妊娠・人工透析はいずれも原因になる。貧血は赤血球やヘモグロビンが減る状態で、手根管の内圧を上げる仕組みがないため原因にならない。
原因を丸暗記すると、見慣れない選択肢が出たときに判断できない。「手根管の中の圧を上げるか」という一つの基準で判断すれば、貧血が外れることは導ける。透析患者のアミロイド沈着は知らないと難しいが、長期透析の合併症として押さえておく価値がある。
手根管症候群では夜間から明け方にしびれが強まり、手を振ると軽快する(フリックサイン)。誘発試験にはファーレンテスト(手関節を屈曲位に保つ)とチネル徴候(手関節掌側を叩く)がある。正中神経の低位麻痺なので、手背の感覚は保たれる(手掌枝は手根管を通らないため母指球部の感覚も保たれる)。鍼灸では大陵・内関・労宮などの手関節掌側の経穴と、前腕の筋の緊張緩和を行い、夜間装具の使用や作業の見直しを併せる。
原因となるものを3つ並べ、機序の違うものを1つ混ぜる。解法は、(1) 症状が起こる仕組みを一言で言う、(2) その仕組みに関わるかで各選択肢を判定する、(3) 関わらないものを選ぶ。
手根管症候群の原因とならないのは貧血。肥満・妊娠・人工透析はいずれも手根管の内圧を上げるので原因になる。「内圧を上げるか」という一つの基準で判定する。