次の症例の病証でみられる舌所見はどれか。「28歳の男性。眉間の痛みを伴う頭痛。随伴症状は鼻出血、呑酸、げっぷ、不眠、便秘、食後すぐに空腹感が起こる。脈は滑数、腹は胃脘部の圧痛を認める。」
正答:3
正答:3
眉間(陽明部)の頭痛、鼻出血、呑酸、げっぷ、便秘、食べてもすぐ空腹になる消穀善飢、脈滑数、胃脘部の圧痛は胃熱(胃火)の証。熱証の舌苔は黄苔。正答は3。
症例から胃熱(実熱)を同定し、熱証の舌苔(黄苔)を、表証・寒証の白苔、正常の薄苔、胃陰損傷の剥苔と区別できるか。
胃に熱がこもると、腐熟が過剰になって食べてもすぐ空腹になる(消穀善飢)、胃気が上逆して呑酸・げっぷ、熱が津液を損なって便秘、胃の熱が陽明経を上って眉間・前頭部の頭痛や鼻出血(陽明経は鼻をめぐる)、熱が心神を擾して不眠が起こる。脈は熱と食滞を反映して滑数、胃脘部は実証なので圧痛(拒按)。実熱の舌は舌質が紅で舌苔が黄。白苔は表証・寒証、薄苔は正常か病が浅い状態、剥苔は胃気・胃陰が損なわれたときで、胃陰虚(嘈雑・空腹感はあるが食べられない・口乾)で見られる。
胃熱(実)と胃陰虚(虚熱)の区別。どちらも空腹感と関連するが、胃熱は食べてもすぐ空腹で食べられる(消穀善飢)・拒按・黄苔、胃陰虚は空腹感があるのに食べられない(嘈雑)・喜按・剥苔や少苔。眉間痛・鼻出血は陽明経の熱の手がかり。
舌苔の色と質:白苔(表・寒)、黄苔(裏・熱)、灰黒苔(熱極・寒極)、薄苔(正常・浅い)、厚苔(裏・実・湿濁・食滞)、膩苔(痰湿)、燥苔(津液損傷)、剥落苔(胃気・胃陰の損傷)。胃熱の治療は清胃瀉火で内庭・合谷・中脘・足三里の瀉法。胃陰虚は滋陰養胃で三陰交・太渓・内関などに補法。
空腹感という語で胃陰虚(剥苔)へ誘導し、拒按・滑数脈・便秘・鼻出血で実熱と読ませる。解法は、(1) 実か虚か(拒按・滑数=実)、(2) 熱証の苔=黄、(3) 剥苔は陰虚で除外。
眉間の頭痛、鼻出血、呑酸、げっぷ、便秘、消穀善飢、脈滑数、胃脘部の圧痛は胃熱(胃火)の実熱証。熱が陽明経を上り、胃気が上逆し、津液を損ない、心神を擾している。舌は紅で苔は黄。白苔は表証・寒証、薄苔は正常、剥苔は胃陰虚で、空腹感でも「食べられない」嘈雑は胃陰虚、「食べてもすぐ空腹」は胃熱と区別する。