腰椎椎間板ヘルニアで、母趾屈曲筋力の低下、アキレス腱反射減弱、下肢伸展挙上テスト陽性を示す場合、施術対象となる神経根として最も適切なのはどれか。
正答:4
正答:4
母趾の屈曲筋力低下、アキレス腱反射の減弱、下肢伸展挙上テスト陽性。いずれもS1神経根の障害を示す。正答は4。
筋力低下の方向と腱反射の高さから、障害されている神経根を特定できるか。
腰仙部の神経根は、支配する筋・腱反射・感覚領域が決まっているので、この3つを突き合わせれば高位が絞れる。母趾の屈曲(底屈)は長母趾屈筋が担い、これは脛骨神経を介してS1が支配する。アキレス腱反射も下腿三頭筋を介してS1が反射弓をつくるので、S1が障害されると減弱する。下肢伸展挙上テストは坐骨神経とその根の伸張をみるもので、L5・S1の障害で陽性となる。したがって障害神経根はS1。なお母趾の背屈(伸展)低下はL5、膝蓋腱反射の減弱と前脛骨筋の筋力低下はL4、大腿四頭筋と大腿前面の症状はL3が担当する。屈曲か伸展かを取り違えるとL5とS1が入れ替わる。
L5とS1は隣り合う高位で、どちらも下肢伸展挙上テストが陽性になる。分かれ目は2つ。母趾が背屈できないのがL5、底屈(屈曲)できないのがS1。アキレス腱反射が減弱するのはS1だけ。腱反射は高位を一つに決められるので最優先で読む。
腰椎椎間板ヘルニアはL4/L5とL5/S1の椎間で多く、後外側へ脱出して下位の神経根を圧迫する。L4/L5ならL5、L5/S1ならS1が障害されることが多い。膀胱直腸障害や進行する麻痺があれば手術適応で、鍼灸で経過を見てはならない。鍼灸では罹患神経根の高さの夾脊穴や大腸兪・関元兪、坐骨神経の走行上の環跳・殷門・委中・承山などを用い、下肢伸展挙上テストの角度を経過の指標にする。
筋力低下・腱反射・神経伸張テストの3所見を並べ、隣接する高位を選択肢に置く。解法は、(1) 腱反射で高位を決める、(2) 筋力低下の運動方向で確認する、(3) 感覚領域が示されていれば突き合わせる。
母趾の屈曲筋力低下とアキレス腱反射の減弱はどちらもS1が担当するので、障害神経根はS1。母趾の背屈低下ならL5、膝蓋腱反射の減弱ならL4、大腿四頭筋ならL3。下肢伸展挙上テストはL5とS1の両方で陽性になるので高位の決定には使えず、腱反射と筋力低下の方向で決める。