次の症例で障害されている靱帯として最も適切なのはどれか。「32歳の男性。競輪選手。最近、レース中に右膝関節外側に痛みを感じるようになった。内反ストレステスト陰性、グラスピングテスト陽性。」
正答:1
正答:1
競輪選手の膝関節外側の痛み。内反ストレステスト陰性、グラスピングテスト陽性。腸脛靱帯炎。正答は1。
陽性と陰性の徒手検査を突き合わせて、障害されている組織を決められるか。
グラスピングテストは、膝関節外側で大腿骨外側上顆の上方の腸脛靱帯を検者が押さえたまま膝を屈伸させ、痛みが誘発されるかをみる検査で、陽性なら腸脛靱帯炎(ランナー膝)を示す。腸脛靱帯は膝の屈伸のたびに大腿骨外側上顆の上を前後に乗り越えるため、走行や自転車の反復で摩擦が起こり炎症を生じる。競輪選手はペダリングで膝の屈伸を大量に繰り返すため、この障害を起こしやすい。一方、内反ストレステストは外側側副靱帯に張力をかける検査で、これが陰性ということは外側側副靱帯の損傷は否定される。同じ膝の外側の痛みでも、責任組織が違う。
膝関節外側の痛みという記述だけで外側側副靱帯を選びやすい。しかし内反ストレステストが陰性と明記されており、ここで消える。陰性所見は否定のために置かれている。腸脛靱帯と外側側副靱帯はどちらも膝外側にあるが、腸脛靱帯は大腿筋膜張筋から続く帯で脛骨外側に付き、外側側副靱帯は大腿骨外側上顆と腓骨頭を結ぶ。
腸脛靱帯炎はランニングや自転車で起こり、ランナー膝とも呼ばれる。オーベルテストで腸脛靱帯の短縮を確かめる。治療は運動量の調整、大腿筋膜張筋と腸脛靱帯のストレッチ、股関節外転筋の強化。鍼灸では圧痛点の陽陵泉・膝陽関・風市・中瀆など足少陽胆経の走行上の経穴を用いる。膝の徒手検査は、内側側副靱帯=外反ストレステスト、外側側副靱帯=内反ストレステスト、前十字靱帯=ラックマンテスト・前方引き出しテスト、後十字靱帯=サギングサイン、半月板=マックマレーテスト・ステインマンテストと整理する。
痛む部位を示し、その部位にある組織を複数並べ、片方を陰性所見で消す。解法は、(1) 陽性所見が示す組織を確定、(2) 陰性所見で消える組織を除く、(3) 競技や動作の反復様式と一致するかを確認する。
膝関節外側の痛みでグラスピングテスト陽性なら腸脛靱帯炎。膝の屈伸のたびに腸脛靱帯が大腿骨外側上顆を乗り越えて摩擦が起こる障害で、競輪のペダリングのような反復動作で生じる。内反ストレステストが陰性なので外側側副靱帯は否定。膝蓋靱帯は前面、後十字靱帯はサギングサインで確かめる。