脈が滑数を認める消穀善飢に対して、五行穴の特性を活かした治療穴に迎随の補瀉に基づき斜刺する場合、鍼尖の方向にある経穴として適切なのはどれか。
正答:2
正答:2
消穀善飢に滑数の脈。胃の熱が盛んな実証で、実すればその子を瀉すから胃経の井金穴(厲兌)を瀉す。瀉法は経脈の流れに逆らって刺すので、鍼尖は近位を向き、その先にある胃経の経穴は陥谷。正答は2。
病証から五行穴の選び方を決め、補瀉の別から鍼尖の向きを導けるか。
消穀善飢は、食べてもすぐ空腹になる症状で、胃の受納・腐熟の働きが亢進した状態を示す。脈が滑数であることも熱と実を示すので、胃熱の実証と読む。実証の五行穴の選び方は「実すればその子を瀉す」。胃経は足陽明で五行は土、その子は金にあたる。陽経の五行穴は井金・滎水・兪木・経火・合土の順で配当されるので、金穴は井穴の厲兌。ここを瀉す。次に刺し方。迎随の補瀉では、経脈の流れに逆らう向きに鍼尖を向けるのが瀉法(迎)、流れに従う向きが補法(随)である。足陽明胃経は頭部から下行して足の第2指端の厲兌で終わるので、流れに逆らう向きは近位(体幹側)。厲兌に斜刺して鍼尖を近位に向ければ、その延長線上にあるのは同じ胃経を上っていく経穴で、選択肢では陥谷が該当する。
二段構えの設問で、どちらかを落とすと当たらない。まず病証と虚実から治療穴を決め、次に補瀉から鍼尖の向きを決める。補法(随)と瀉法(迎)の向きを取り違えると、答えは反対側の経穴になる。また陽経と陰経で五行穴の配当が違う(陰経は井木・滎火・兪土・経金・合水)ので、経の陰陽を先に確認する。
胃熱では消穀善飢のほかに、口渇、口臭、歯茎の腫れや出血、便秘がみられ、舌質は紅、舌苔は厚黄、脈は洪数となりやすい。足陽明経は歯茎をめぐるので、この経の症状として現れる。実証では子穴を瀉し、虚証では母穴を補うのが本治法の基本で、後者が難経六十九難にあたる。迎随の補瀉のほかに、呼吸の補瀉、開闔の補瀉、徐疾の補瀉、捻転の補瀉などがあり、それぞれ補と瀉の操作が対になっている。
病証から治療穴を決めさせたうえで、答えさせるのは治療穴そのものではなく鍼尖の向いた先の経穴にする。解法は、(1) 病証の虚実を決める、(2) 五行穴の母子で治療穴を決める、(3) 補瀉から鍼尖の向きを決める、(4) 同じ経でその向きにある経穴を選ぶ。
消穀善飢に滑数の脈は胃熱の実証。実すればその子を瀉すので、胃経(土)の子である金穴、すなわち井金穴の厲兌を瀉す。瀉法の迎随では鍼尖を経脈の流れに逆らう向きに向ける。胃経は下行して厲兌で終わるから、逆らう向きは近位。その延長上にある胃経の経穴が陥谷。