次の症例の病証で最も適切なのはどれか。「48歳の女性。最近、帯下の量が増えた。帯下は白色で無臭、粘稠でだらだらと続くことが多い。顔はやつれて血色は悪い。舌苔は白膩、脈は緩を認める。」
正答:3
正答:3
白色で無臭、粘稠でだらだら続く帯下。顔はやつれて血色が悪く、舌苔は白膩、脈は緩。脾の運化が失調して湿が停滞した脾虚湿盛。正答は3。
帯下の色・におい・性状と、舌苔・脈から、虚と湿の組合せを読めるか。
帯下の弁証は、色・におい・粘り・量で寒熱虚実を分ける。白色で無臭ならば熱ではなく寒あるいは虚。黄色く粘って臭いが強ければ湿熱である。本例は白色・無臭・粘稠でだらだら続くという、湿が停滞して下注した形。顔がやつれて血色が悪いのは気血の生成が足りないことを示し、脈が緩であることも脾の虚を示す。舌苔が白膩であるのは湿の停滞そのもの。脾は運化を主り、水湿を運ぶ。脾が虚すと水湿がさばけずに停滞し、下に流れて帯脈の束ねる力が緩み、帯下となる。したがって脾虚湿盛。
帯下の設問は「湿」まではすぐ決まるが、その先の寒熱と臓で迷う。決め手は3つ。色とにおい(白・無臭なら熱ではない)、舌苔(白膩は寒湿、黄膩は湿熱)、全身症状(冷えがあれば腎陽虚、顔色不良と倦怠なら脾虚)。本例には冷えの記述がなく、顔色不良が書かれているので脾の側に寄る。
帯下は月経異常とともに婦人科の主症状であり、鍼灸の対象になるが、器質的疾患の除外が前提になる。不正性器出血、月経時以外の疼痛、異常な体重変動、腹部の腫瘤、強い精神症状などを伴う場合は専門医への受診をすすめる。褐色帯下が続く場合は子宮体がんの有症状者である疑いがあるとして、公的ながん検診の指針でも医療機関での検査が求められている。脾虚湿盛の治法は健脾化湿で、脾兪・足三里・陰陵交・三陰交・帯脈・白環兪などを用いる。
帯下という共通の症状に、虚と実、寒と熱の病証を並べる。解法は、(1) 色とにおいで熱の有無を決める、(2) 舌苔で湿の性質を決める、(3) 全身症状と脈で臓を決める。
白色・無臭・粘稠でだらだら続く帯下に、顔色不良、白膩苔、緩脈。熱の所見がなく湿の停滞と虚を示すので脾虚湿盛。膀胱湿熱なら黄色く臭い帯下と黄膩苔・滑数脈、腎陽虚なら冷えと五更泄瀉、肝血虚なら舌淡・細脈で帯下は主症状にならない。