「45歳の女性。心窩部右側の強い痛みと悪心があり近医を受診。血中コレステロール、中性脂肪はともに高値でBMIは27。右肩への放散痛があり、マーフィー徴候は陽性。背部叩打痛と便通異常はない。」合併する症状で最も考えられるのはどれか。
正答:1
正答:1
マーフィー徴候陽性、右肩への放散痛、高脂血症と肥満。胆嚢の疾患で、胆管が詰まれば閉塞性黄疸となり眼球結膜が黄染する。正答は1。
胆嚢疾患と判断したうえで、その延長線上に起こる症状を選べるか。
マーフィー徴候は、右季肋部を圧迫しながら息を吐かせ、次に吸わせたときに痛みで吸気が止まるもので、胆嚢の炎症を示す。右肩への放散痛は、胆嚢の刺激が横隔膜を介して横隔神経(C3〜C5)に及び、同じ髄節が支配する肩に関連痛として現れるもの。血中コレステロールと中性脂肪が高くBMIが27という背景も、コレステロール胆石の危険因子にあたる。胆石が胆嚢管や総胆管に詰まると胆汁が流れなくなり、血中のビリルビンが上がって黄疸が出る。黄疸は皮膚よりも眼球結膜で早く目立つので、合併する症状として眼球結膜の黄染が挙がる。背部叩打痛がないことは腎・尿路疾患を、便通異常がないことは腸管の疾患を、それぞれ除いている。
心窩部痛は胃・十二指腸、膵臓、胆嚢、心臓の下壁梗塞など多くの疾患で起こる。本問はマーフィー徴候という決め手を置いたうえで、陰性所見(背部叩打痛なし、便通異常なし)で他系統を消している。陽性所見だけでなく、書かれていない・否定されている所見も読む。
胆石症の危険因子は4つのFで語られることがある(Forty=40歳代、Female=女性、Fatty=肥満、Fertile=多産)。胆嚢炎では右季肋部痛、発熱、悪心・嘔吐が出て、総胆管結石では黄疸・灰白色便・褐色尿が加わる(シャルコー三徴は右季肋部痛・発熱・黄疸)。膵臓や胆嚢の疾患は背中の痛みとしても現れる。鍼灸の適応は診断が確定し急性期を脱した後の症状緩和で、急性腹症を疑う所見があれば直ちに医療機関へ紹介する。
心窩部痛という多義的な主訴に、決め手となる徴候を1つと、他系統を消す陰性所見を2つ置く。解法は、(1) 決め手の徴候から臓器を決める、(2) 陰性所見で消える系統を除く、(3) 決めた臓器の疾患が進んだときに起こる症状を選ぶ。
マーフィー徴候陽性と右肩への放散痛から胆嚢の疾患。高脂血症と肥満も胆石の危険因子。胆道が詰まればビリルビンが上がって黄疸が出て、眼球結膜の黄染として最も早く現れる。肋間部の発疹は帯状疱疹、グル音の亢進は腸管、血尿は尿路の所見で、いずれも陰性所見で除かれている。