「67歳の男性。主訴は動作時の呼吸困難。痩せて樽状胸郭を呈している。呼吸機能検査で1秒率の低下、胸部エックス線検査で肺野の透過性亢進を認めた。ブリンクマン指数は940。」疾患として最も考えられるのはどれか。
正答:2
正答:2
痩せて樽状胸郭、1秒率の低下、肺野の透過性亢進、ブリンクマン指数940。閉塞性換気障害を示すのでCOPD。正答は2。
換気障害の型と画像所見、喫煙歴を突き合わせて疾患を決められるか。
1秒率が低下しているのは閉塞性換気障害を意味し、息を吐き出しにくい状態を示す。COPDでは末梢気道の狭窄と肺胞の破壊が起こり、息を吐き切れずに肺に空気が残るため、胸郭が前後に膨らんで樽状胸郭となり、胸部エックス線では肺野の透過性が亢進し横隔膜が平低化する。呼気の延長と、進行例のやせも特徴。ブリンクマン指数は1日の喫煙本数×喫煙年数で、940という値は長期の重度喫煙を示す。喫煙はCOPDの最大の原因である。以上がすべてCOPDに一致する。間質性肺炎は拘束性換気障害で肺活量が低下し、1秒率はむしろ保たれるか上昇するので、この時点で外れる。
1秒率と肺活量を取り違えると閉塞性と拘束性が逆になる。1秒率の低下=閉塞性(吐けない)、%肺活量の低下=拘束性(吸えない)。肺気腫では1秒量は正常または正常に近くても1秒率が下がる点も、混同の元になる。喫煙指数は肺癌の危険度としても使われるので、数値が出たからといって肺癌に飛びつかず、他の所見と合わせる。
COPDは慢性気管支炎と肺気腫を含む概念で、喫煙が最大の危険因子。肺気腫では気管支炎を伴わない場合、樽状の胸郭で背を丸めて前かがみになり、明らかな呼気の延長を伴う呼吸困難がみられる。気腔の拡大が高度になると拡散能も低下する。ブリンクマン指数が400以上で肺癌の発生率が高まるとされ、喫煙関連疾患の指標として広く使われる。鍼灸では呼吸補助筋の緊張緩和と呼吸困難の軽減を目的に、定喘、肺兪、膏肓、中府、膻中、合谷、足三里などを用いる。
呼吸機能検査の数値と画像所見を並べ、閉塞性と拘束性の疾患を混ぜる。解法は、(1) 1秒率か肺活量かを確認して換気障害の型を決める、(2) 画像所見(透過性亢進か網状影か)で確認、(3) 危険因子(喫煙歴)と体型を照合する。
1秒率の低下は閉塞性換気障害。樽状胸郭と肺野の透過性亢進、ブリンクマン指数940という重度喫煙歴を合わせるとCOPD。間質性肺炎は拘束性で1秒率は下がらず網状影、肺結核は上肺野の浸潤影と全身症状、気管支拡張症は多量の膿性痰が主。