複数の筋腹が腱で直列につながっている筋はどれか。
公式正答:3
解説
複数の筋腹が腱で直列につながっている筋を問う。腹直筋である。
この問題で問われていること
筋の形と、筋腹・腱の並び方を区別できるか。
しくみから理解する
腹直筋は、恥骨から胸骨の剣状突起と第5〜7肋軟骨へ向かって縦に走る筋で、途中に3〜4本の腱画(横に走る腱の帯)を持つ。この腱画により、筋腹が縦方向に区切られ、直列に並ぶ形になる。体表からは、いわゆる「割れた腹筋」として見える。このように、複数の筋腹が腱で直列につながる筋を多腹筋という。腹直筋のほか、顎二腹筋(2つの筋腹が中間腱でつながる)も同じ形式になる。
選択肢ごとの確認
咬筋は、頬骨弓から下顎枝へ向かう、単一の筋腹を持つ筋になる。咀嚼筋の一つで、下顎を挙上(口を閉じる)する。
上腕二頭筋は、起始が2つに分かれている筋(二頭筋)になる。長頭は肩甲骨の関節上結節から、短頭は烏口突起から起こり、合わさって橈骨粗面と上腕二頭筋腱膜に停止する。筋腹が直列に並ぶのではなく、起始が並列に分かれる形式になる。
大腿四頭筋は、起始が4つに分かれている筋(四頭筋)になる。大腿直筋、内側広筋、外側広筋、中間広筋からなり、合わさって膝蓋骨と脛骨粗面に停止する。これも並列の形式になる。
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混同しやすいポイント
混同しやすいのは、「二頭筋・四頭筋(起始が分かれる=並列)」と「多腹筋(筋腹が腱で区切られる=直列)」になる。頭の数は起始の数、腹の数は筋腹の数になる。誤肢のうち、上腕二頭筋と大腿四頭筋は、いずれも起始が分かれる筋であり、直列ではない。加えて、筋の形による分類も押さえる。①紡錘状筋(上腕二頭筋)、②羽状筋(力を出しやすい。大腿直筋、腓腹筋)、③多腹筋(腹直筋)、④多尾筋(指の腱が分かれる)、⑤板状筋(腹斜筋)、⑥輪状筋(口輪筋、眼輪筋、括約筋)になる。
理解を深める
筋の構造と働きを整理する。骨格筋の構造=筋線維(筋細胞)が束になって筋束を作り、筋束が集まって筋になる。それぞれ、筋内膜、筋周膜、筋外膜という結合組織に包まれ、両端で腱となって骨に付着する。筋線維の中には、筋原線維が並び、その中でアクチンとミオシンが規則正しく配列して、横紋を作る。収縮の仕組み=運動神経の興奮が神経筋接合部でアセチルコリンを放出し、筋線維の膜が興奮する。それが横行小管を伝わり、筋小胞体からカルシウムイオンが放出される。カルシウムがトロポニンに結合すると、トロポミオシンが動いてアクチンの結合部位が露出し、ミオシン頭部が結合して滑り込む(滑走説)。エネルギーはアデノシン三リン酸による。筋線維の種類=①遅筋(赤筋、タイプⅠ)=ミオグロビンとミトコンドリアに富み、持久力に優れる。姿勢を保つ筋に多い。②速筋(白筋、タイプⅡ)=速く強く収縮するが疲労しやすい。収縮の様式=①等張性収縮(長さが変わる。求心性=筋が短くなる、遠心性=筋が伸ばされながら力を出す)、②等尺性収縮(長さが変わらない。関節を動かさずに力を出す。臥床中でも行える。関節運動は生じないが、筋の張力による圧迫力や剪断力は関節にかかるため、負荷がないわけではない)。看護に関わる点=①廃用性筋萎縮(不動により、1週間で10〜15%程度の筋力が失われる。回復には失った期間の数倍を要する)、②等尺性運動による予防、③高齢者のサルコペニア(加齢に伴う筋量と筋力の低下)と、フレイル、④筋肉内注射の部位(三角筋、中殿筋)、⑤筋の萎縮と拘縮の予防(良肢位、他動運動、早期離床)。
間違えやすい考え方
筋の形を問う型で、誤肢が起始の分かれる筋である。頭の数と腹の数の違いで切る。
5分で振り返る
①腹直筋は、3〜4本の腱画により筋腹が縦に区切られ、直列に並ぶ多腹筋になる。②顎二腹筋も、2つの筋腹が中間腱でつながる多腹筋。③上腕二頭筋と大腿四頭筋は、起始が分かれる(並列)筋であり、直列ではない。頭の数は起始の数、腹の数は筋腹の数。④咬筋は単一の筋腹を持ち、下顎を挙上する咀嚼筋。⑤筋の形による分類=紡錘状筋、羽状筋、多腹筋、多尾筋、板状筋、輪状筋。⑥収縮の様式=等張性収縮(長さが変わる)と等尺性収縮(長さが変わらない。臥床中でも行え関節に負担をかけない)。⑦不動により1週間で10〜15%程度の筋力が失われ、回復には失った期間の数倍を要する。
1分チェック
- 複数の筋腹が腱で直列につながる筋は。→ 腹直筋(多腹筋)。
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