健康を人々の権利として明記したのはどれか。
公式正答:1 または 3
「または」で区切った組のいずれかと一致すれば正解です。解説
公式正答表では、この単一選択問題について世界保健機関の健康に関する定義または世界人権宣言のいずれか一方を代替正答として認めている。同時に2肢を選ぶ問題として扱わない。
この問題で問われていること
国際的な文書の内容と対象を区別できるか。
しくみから理解する
世界保健機関憲章(1946年採択、1948年発効)の前文には、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」という定義に続いて、「到達しうる最高水準の健康を享受することは、すべての人の基本的な権利の一つである」と明記されている。世界人権宣言(1948年、国際連合総会で採択)の第25条にも、「すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利を有する」と定められている。したがって、この2つが該当する。
選択肢ごとの確認
ジュネーブ宣言は、1948年に世界医師会が採択した、医師の職業倫理に関する宣言になる。ヒポクラテスの誓いを現代化したもので、患者の健康を第一に考えること、患者の秘密を守ること、そして差別をしないことなどを、医師自身が誓う形をとる。患者の権利を定めた文書ではない。
リスボン宣言(患者の権利に関するリスボン宣言。1981年、世界医師会)は、患者の権利を定めた重要な文書になる。良質の医療を受ける権利、選択の自由、自己決定の権利、情報を得る権利、守秘の権利、そして尊厳への権利などを掲げる。ただし、この設問が問うのは「健康を人々の権利として明記したもの」であり、リスボン宣言は医療を受ける患者の権利を定めたもので、健康そのものを権利として宣言した文書とは位置づけが異なる。
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混同しやすいポイント
誤肢のうち、リスボン宣言は患者の権利を定めており、判断が難しい。区別は、「健康そのものを権利とするか」「医療を受ける患者の権利を定めるか」になる。世界保健機関憲章と世界人権宣言は、すべての人が健康である権利を掲げる。リスボン宣言は、医療の場における患者の権利を掲げる。ジュネーブ宣言は、医師の側の倫理を誓うものになる。誰の、何についての文書かで整理する。
理解を深める
看護と医療に関わる国際的な文書を整理する。世界保健機関憲章(1946年)=健康の定義と、健康は基本的人権であるという宣言。世界人権宣言(1948年)=すべての人の権利。健康と福祉に十分な生活水準を保持する権利を含む。ジュネーブ宣言(1948年)=医師の職業倫理。ヘルシンキ宣言(1964年、世界医師会)=人を対象とする医学研究の倫理原則。インフォームド・コンセント、倫理審査委員会、そして被験者の福祉の優先を定める。ニュルンベルク綱領(1947年)=人体実験に関する10の原則。自発的な同意を絶対の要件とした。リスボン宣言(1981年)=患者の権利。アルマ・アタ宣言(1978年)=プライマリヘルスケア。オタワ憲章(1986年)=ヘルスプロモーション。看護に固有のもの=ナイチンゲール誓詞、国際看護師協会の看護師の倫理綱領(1953年制定、改訂を重ねる)、そして日本看護協会の看護職の倫理綱領(2021年)。看護職の倫理綱領は、16の条文からなり、人間の尊厳の尊重、平等な看護の提供、信頼関係、自己決定の支援、守秘、責任、能力の維持と向上、そして災害時の支援などを定める。これらの文書は、日々の実践の判断に迷ったときに立ち返る土台になる。
間違えやすい考え方
公式正答表が複数の代替正答を認めた単一選択問題である。いずれか一方を選べば正答であり、2肢同時選択を求める型として説明しない。
5分で振り返る
①世界保健機関憲章(1946年採択)の前文=健康の定義に続き、「到達しうる最高水準の健康を享受することは、すべての人の基本的な権利の一つである」と明記する。②世界人権宣言(1948年)第25条=健康と福祉に十分な生活水準を保持する権利を定める。③ジュネーブ宣言(1948年)は医師の職業倫理を誓う文書。④リスボン宣言(1981年)は医療の場における患者の権利を定める。⑤ヘルシンキ宣言(1964年)は人を対象とする医学研究の倫理原則。⑥ニュルンベルク綱領(1947年)は人体実験の10原則で、自発的な同意を絶対の要件とした。⑦看護に固有のものとして、国際看護師協会と日本看護協会の倫理綱領がある。
1分チェック
- 健康を権利として明記したのは。→ 世界保健機関の健康の定義と世界人権宣言。
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