大腸の狭窄による便秘はどれか。
公式正答:1
解説
大腸の狭窄による便秘の分類を問う。器質性便秘である。
この問題で問われていること
便秘を、原因の性質で分類できるか。
しくみから理解する
便秘は、まず器質性と機能性に分けられる。器質性便秘は、腸管そのものに形態上の異常があり、便の通過が妨げられるものになる。大腸がん、腸の癒着、炎症による狭窄、腸重積、そして腸の外からの圧迫が原因になる。設問の「大腸の狭窄」は、まさに形態上の異常であり、器質性便秘に当たる。機能性便秘は、腸管に形態上の異常がなく、運動や排便の機能の問題によるもので、弛緩型、痙攣型、直腸型に分けられる。
選択肢ごとの確認
痙攣型便秘は機能性便秘の一つで、副交感神経の過度の緊張により、腸管が痙攣性に収縮して便の通過が妨げられるものになる。過敏性腸症候群でみられ、便が兎の糞のように小さく硬くなり、下痢と交互に現れることもある。腹痛を伴う。
弛緩型便秘も機能性便秘の一つで、大腸の蠕動運動が低下し、便が長くとどまって水分が吸収され硬くなるものになる。高齢者、長期臥床、腹筋の低下、食物繊維の不足でみられ、最も頻度が高い。
直腸性便秘も機能性便秘の一つで、便が直腸まで来ているのに、排便反射が弱くなって排出されないものになる。便意を我慢する習慣、下剤や浣腸の乱用、そして脊髄の障害が原因になる。
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混同しやすいポイント
「器質性」と「機能性」の区別が第一の分かれ目になる。形があるものが妨げているか(器質性)、働きの問題か(機能性)で分ける。誤肢はすべて機能性の3型であり、設問の「狭窄」という語が器質性を指している。器質性便秘は、原因の治療が必要であり、下剤で対応するものではない。とくに、急に始まった便秘、血便、体重減少、貧血を伴う場合は、大腸がんを疑って検査を行う。
理解を深める
排便の援助を整理する。便秘の分類=①器質性(腸管の形態上の異常。がん、癒着、炎症性の狭窄、腸重積、外からの圧迫)、②機能性(弛緩型、痙攣型、直腸型)、③症候性(他の疾患に伴う。甲状腺機能低下症、糖尿病、パーキンソン病、脊髄損傷、電解質異常=高カルシウム血症と低カリウム血症)、④薬剤性(オピオイド、抗コリン薬、抗うつ薬、鉄剤、カルシウム拮抗薬、利尿薬、制酸薬)。援助=①食事(食物繊維=不溶性は便の量を増やし、水溶性は便を柔らかくする。水分、油脂、発酵食品)、②水分(1日1,500mL程度を目安に、心不全と腎不全がなければ)、③運動(腹筋の強化、歩行)、④腹部のマッサージ(大腸の走行に沿って時計回りに)、⑤温罨法、⑥排便の習慣(毎朝、決まった時間に。食後の胃結腸反射を利用する)、⑦姿勢(前傾で、足台を用いて股関節を深く曲げる。直腸と肛門の角度が開く)、⑧プライバシーと環境(音、におい、時間の余裕)、⑨便意を我慢しない、⑩薬剤(膨張性、浸透圧性、刺激性、上皮機能変容薬、消化管運動賦活薬)、⑪摘便と浣腸(グリセリン浣腸は、左側臥位で、成人ではカテーテルを5cm程度挿入し、立位では実施しない。腸管穿孔の危険がある)。観察=排便の回数、量、性状(ブリストル便性状スケール)、色、血液の有無、腹部の膨満と腸蠕動音、腹痛、そして食事と水分の摂取量。注意=下剤は種類ごとに扱いが異なる。長期の連用による問題が論じられるのは主に刺激性下剤で、その証拠も限られている。浸透圧性(ポリエチレングリコールなど)と膨張性は、長期の使用が推奨されている。いずれにせよ、まず生活の調整から行う。高齢者では、便秘が食欲不振、悪心、せん妄の原因になることがあり、便の状態の把握は基本的な観察項目になる。
間違えやすい考え方
分類を問う型で、誤肢がすべて機能性の3型である。「狭窄」という形態上の異常で切る。
5分で振り返る
①便秘は、まず器質性と機能性に分ける。②器質性=腸管の形態上の異常により通過が妨げられる。大腸がん、癒着、炎症性の狭窄、腸重積、外からの圧迫。③機能性=弛緩型(蠕動の低下。高齢者、長期臥床、食物繊維不足。最も多い)、痙攣型(副交感神経の過緊張。過敏性腸症候群。兎の糞状で腹痛を伴う)、直腸型(便意の我慢、下剤と浣腸の乱用、脊髄障害)。④器質性は原因の治療が必要で、下剤で対応するものではない。⑤急に始まった便秘、血便、体重減少、貧血を伴えば大腸がんを疑う。⑥症候性=甲状腺機能低下症、糖尿病、パーキンソン病、脊髄損傷、高カルシウム血症、低カリウム血症。⑦薬剤性=オピオイド、抗コリン薬、抗うつ薬、鉄剤。⑧グリセリン浣腸は左側臥位で行い、立位では実施しない。
1分チェック
- 大腸の狭窄による便秘は。→ 器質性便秘。
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