左心不全〈left heart failure〉で みられる症状はどれか。
公式正答:3
解説
左心不全でみられる症状を問う。起坐呼吸である。
この問題で問われていること
左心不全と右心不全を、うっ血の場所で分けられるか。
しくみから理解する
左心室のポンプとしての働きが低下すると、左心房から左心室へ血液が流れにくくなり、その手前にある肺静脈と肺の毛細血管に血液がうっ滞する。これが肺うっ血で、労作時呼吸困難、発作性夜間呼吸困難、起坐呼吸、咳と痰(ピンク色の泡沫状痰)、そして湿性ラ音として現れる。起坐呼吸は、臥位になると下半身から心臓へ戻る血液が増え、肺うっ血が悪化して呼吸が苦しくなるため、上体を起こすと楽になる状態を指す。左心不全に特徴的な所見になる。
選択肢ごとの確認
肝腫大は右心不全の症状になる。右心室の働きが低下すると、その手前の全身の静脈に血液がうっ滞し、肝臓が腫れる。
下腿浮腫も右心不全の症状になる。静脈のうっ滞により、毛細血管から水分が組織へ漏れ出る。重力の影響を受けるため、立位や座位の時間が長い人では下腿に、臥床している人では仙骨部に現れる。
頸静脈怒張も右心不全の症状になる。右心房への還流が妨げられ、頸静脈の圧が上がって、座位でも頸静脈が膨らんで見える。
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混同しやすいポイント
区別の鍵は「どちらの側の手前がうっ滞するか」になる。左心不全は肺(肺循環)のうっ血、右心不全は全身(体循環)のうっ血になる。誤肢はいずれも体循環のうっ血で、右心不全の所見になる。実際には、左心不全が続くと肺高血圧を経て右心不全も生じ、両心不全になることが多い。したがって、臨床では両方の所見が混在する。
理解を深める
心不全を整理する。左心不全(肺うっ血)=①労作時呼吸困難(初めは強い労作で、進行すると軽い労作でも)、②発作性夜間呼吸困難(就寝後数時間で呼吸困難により覚醒する)、③起坐呼吸、④咳と痰(ピンク色の泡沫状痰は肺水腫を示す)、⑤湿性ラ音、⑥チアノーゼ、⑦不穏と意識の低下(低酸素)、⑧心拍出量の低下による症状(易疲労感、四肢の冷感、乏尿、血圧の低下)。右心不全(体うっ血)=①頸静脈の怒張、②肝腫大と肝頸静脈逆流、③腹水、④下腿と仙骨部の浮腫、⑤体重の増加、⑥食欲不振と悪心(消化管のうっ血)、⑦夜間の多尿。分類=ニューヨーク心臓協会の分類(Ⅰ度=身体活動に制限なし、Ⅱ度=軽度の制限、Ⅲ度=著しい制限、Ⅳ度=安静時にも症状)。急性心不全の分類=末梢の循環(温かいか冷たいか)とうっ血(湿っているか乾いているか)の組み合わせによる4区分。検査=胸部エックス線(心陰影の拡大、肺うっ血、胸水)、心電図、心エコー(駆出率、壁運動、弁)、血液(脳性ナトリウム利尿ペプチド。心不全の重症度を反映する)。治療=利尿薬、血管拡張薬、強心薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬、ベータ遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、そして近年はナトリウム・グルコース共輸送体2阻害薬。急性期は、坐位、低酸素血症がある場合の目標値を監視した酸素投与、適応がある場合の非侵襲的陽圧換気、病態に応じた利尿薬・血管作動薬。看護=①体位(起坐位またはファーラー位。下肢を下げると静脈還流が減り楽になる)、②酸素投与、③安静と活動の調整、④水分と塩分の管理、⑤体重と水分出納の測定、⑥服薬の管理、⑦皮膚の観察(浮腫部位は損傷しやすい)、⑧不安への対応(呼吸困難は強い恐怖を伴う)。
間違えやすい考え方
症状の左右を問う型で、誤肢がすべて右心不全の所見である。肺のうっ血か全身のうっ血かで切る。
5分で振り返る
①左心不全では、手前にある肺にうっ血が起こる。労作時呼吸困難、発作性夜間呼吸困難、起坐呼吸、ピンク色の泡沫状痰、湿性ラ音。②起坐呼吸=臥位で静脈還流が増え肺うっ血が悪化するため、上体を起こすと楽になる。③右心不全では、全身の静脈にうっ血が起こる。頸静脈怒張、肝腫大、腹水、下腿と仙骨部の浮腫、体重増加、食欲不振。④左心不全が続くと肺高血圧を経て右心不全も生じ、両心不全になる。⑤脳性ナトリウム利尿ペプチドは心不全の重症度を反映する。⑥急性期の対応=起坐位、低酸素血症がある場合の目標値を監視した酸素投与、適応がある場合の非侵襲的陽圧換気、病態に応じた利尿薬・血管作動薬。⑦浮腫のある皮膚は損傷しやすい。
1分チェック
- 左心不全の症状は。→ 起坐呼吸(肺うっ血)。右心不全は全身のうっ血。
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