シクロホスファミドを投与している患者で注意が必要なのはどれか。
公式正答:4
解説
シクロホスファミドを投与している患者で注意が必要なものを問う。出血性膀胱炎である。
この問題で問われていること
薬剤ごとの特徴的な副作用を覚えているか。
しくみから理解する
シクロホスファミドは、アルキル化薬に分類される抗癌薬になる。体内で代謝される過程で、アクロレインという物質が生じ、これが尿中に排泄されて膀胱の粘膜を傷害する。その結果、血尿、頻尿、排尿時痛を伴う出血性膀胱炎を起こす。予防には、十分な補液と頻回の排尿により、アクロレインが膀胱にとどまる時間を短くすることが基本になる。加えて、大量投与の際には、メスナ(アクロレインを不活化する薬剤)を併用する。看護では、水分摂取の励行、排尿の促し、尿の色と量の観察、そして排尿時の症状の確認を行う。
選択肢ごとの確認
緑内障は、抗コリン薬(抗ヒスタミン薬、三環系抗うつ薬、鎮痙薬、一部の感冒薬)で、閉塞隅角の患者に注意を要する。シクロホスファミドの副作用ではない。
間質性肺炎は、ブレオマイシン、メトトレキサート、ゲフィチニブ、そして免疫チェックポイント阻害薬などで注意を要する。シクロホスファミドの添付文書にも、重大な副作用として間質性肺炎・肺線維症の記載がある。投与中に咳や呼吸困難が出れば、他剤の副作用と決めつけず、間質性肺炎を疑って評価する。ただしこの薬に最も特徴的で、設問が問うているのは出血性膀胱炎になる。
歯肉の肥厚は、フェニトイン(抗てんかん薬)、シクロスポリン(免疫抑制薬)、そしてカルシウム拮抗薬(ニフェジピンなど)で生じる。名前の似たシクロスポリンとの取り違えを狙った選択肢と考えられる。
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混同しやすいポイント
薬剤名と、その薬に特有の副作用を対で覚える。シクロホスファミド=出血性膀胱炎。ブレオマイシン=肺線維症。ドキソルビシン=心毒性。シスプラチン=腎障害、聴力障害、悪心・嘔吐。ビンクリスチン=末梢神経障害、便秘。オキサリプラチン=末梢神経障害(寒冷で誘発される)。イリノテカン=下痢。メトトレキサート=口内炎、骨髄抑制。関節リウマチの少量週1回投与では、葉酸製剤を別の日に補充して毒性を軽減する。悪性腫瘍に対する大量療法では、これとは別に、活性型葉酸であるホリナートを定められた量と時刻で投与する救援療法を行う。場面も薬剤も違うので混同しない。誤肢のうち、シクロスポリンとの混同に注意する。
理解を深める
がん化学療法の看護を整理する。副作用の時期=投与直後(過敏反応、血管外漏出、急性の悪心・嘔吐)、数日(遅発性の悪心・嘔吐、倦怠感)、1〜2週間(口内炎、下痢、骨髄抑制の始まり)、7〜14日(好中球の最低値)、2〜3週間(脱毛)、長期(末梢神経障害、心毒性、性腺機能障害、二次発癌)。骨髄抑制への対応=好中球減少では、感染予防(手洗い、口腔ケア、環境、生ものの制限は施設の方針による)と、発熱時の速やかな対応(発熱性好中球減少症は緊急事態で、直ちに抗菌薬を投与する)。血小板減少では、出血の予防(転倒、打撲、便秘、歯磨き、鼻をかむ動作)。貧血では、活動と休息の調整。血管外漏出=起壊死性薬剤(アントラサイクリン系、ビンカアルカロイド系)では重篤な組織障害を招く。刺入部の観察を頻回に行い、疼痛、腫脹、発赤、滴下不良があれば直ちに中止して対応する。中心静脈ポートの使用も検討される。患者と家族への支援=副作用の説明とセルフケアの指導、脱毛への準備(ウィッグ、帽子)、食事の工夫、性と生殖に関する相談(妊孕性の温存)、そして就労と生活の調整。近年は、外来での化学療法が主流であり、自宅での自己管理を支える体制(相談窓口、緊急時の連絡先、副作用の記録)が重要になる。
間違えやすい考え方
副作用を問う型で、その薬に最も特徴的なものを選ぶ。誤肢の多くは他の薬剤の副作用だが、間質性肺炎のようにこの薬にも記載のあるものが混ざる。最も特徴的かどうかで切る。
5分で振り返る
①シクロホスファミドはアルキル化薬。代謝でアクロレインが生じ、尿中に排泄されて膀胱粘膜を傷害する。②出血性膀胱炎=血尿、頻尿、排尿時痛。③予防は十分な補液と頻回の排尿。大量投与ではメスナを併用する。④緑内障は抗コリン薬、歯肉の肥厚はフェニトイン・シクロスポリン・カルシウム拮抗薬。間質性肺炎はブレオマイシンや免疫チェックポイント阻害薬で頻度が高いが、シクロホスファミドの添付文書にも重大な副作用として記載があり、投与中の咳や呼吸困難では疑う。⑤薬剤ごとの特徴=ブレオマイシン(肺線維症)、ドキソルビシン(心毒性)、シスプラチン(腎障害・聴力障害)、ビンクリスチン(末梢神経障害・便秘)、イリノテカン(下痢)。⑥発熱性好中球減少症は緊急事態で直ちに抗菌薬を投与する。⑦起壊死性薬剤の血管外漏出は重篤な組織障害を招く。
1分チェック
- シクロホスファミドで注意するのは。→ 出血性膀胱炎(十分な補液と頻回の排尿で予防)。
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