A ちゃん(小学4年生、女児)は父親(40 歳、会社員)、母親(40 歳、会社員)、弟 (小学2年生)と4人で暮らしている。交通事故で頸髄損傷となり、訪問看護を利用 して在宅療養を開始した。A ちゃんはこれまで通っていた小学校に継続して通学 することを希望している。 A ちゃんの家族への看護師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。
公式正答:2・3
解説
交通事故で頸髄損傷となり在宅療養を開始した小学4年生女児の家族への対応を2つ選ぶ。弟の退行現象に注意するよう説明すること、および利用できる社会資源を紹介することである。
この問題で問われていること
家族全体を対象として、必要な支援を選べるか。
しくみから理解する
きょうだいへの配慮=家族に大きな出来事が起きると、他の子どもも強い影響を受ける。小学2年生の弟は、姉の事故という衝撃、家族の関心が姉へ集中すること、そして生活の変化により、退行(おねしょ、甘え、赤ちゃん返り)、不安、身体の症状、そして問題行動を示すことがある。これはよくある反応であり、あらかじめ伝えておくことで、家族が驚かず、責めずに受け止められる。社会資源の紹介=頸髄損傷による在宅療養では、医療、介護、教育、そして福祉の多くの制度が関わる。何が使えるかを知らなければ、家族だけで抱え込むことになる。情報を提供し、選べるようにすることが支援になる。
選択肢ごとの確認
特別支援学校への転校を勧めることは適切でない。本人は、これまで通っていた小学校に継続して通学することを希望している。医療的ケアが必要な子どもも、合理的配慮と、看護師の配置などの支援により、通常の学校に通うことができる。就学先は、本人と保護者の意見を最大限に尊重して決められる。看護師が転校を勧める立場にはない。
ケアを主に母親が行うよう助言することも適切でない。両親とも会社員であり、母親一人に負担が集中すれば、就労の継続が困難になり、また家族全体の生活も成り立たなくなる。父母で分担し、加えて訪問看護、訪問介護、学校の看護師、そして親族の支援を組み合わせる形を一緒に考える。
事故について家族の間で話題にしないよう指導することも適切でない。話さないことは、それぞれが一人で抱えることを意味し、誤解と罪責感を残す。年齢に応じた形で、起きたことを共有し、気持ちを話せるようにすることが、家族の回復を助ける。とくに弟には、「自分のせいではない」ことを伝える必要がある。
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混同しやすいポイント
誤肢は、本人の希望の無視、負担の集中、そして話題の回避になる。いずれも、家族が抱えている課題を、より難しくする方向になる。「家族全体を見る」「本人と家族の希望を尊重する」「一人に負担を集中させない」「気持ちを話せるようにする」という4つが、この設問の判断の軸になる。
理解を深める
頸髄損傷の子どもの在宅療養を整理する。障害の程度=損傷の高さによる目安として、第4頸髄より上位では横隔膜の機能が失われて人工呼吸を要することが多く、第4〜第6頸髄では上肢の一部の機能が残り電動車椅子の操作などが可能になる。ただし残る機能と呼吸の転帰は高さだけでは決まらず、完全損傷か不全損傷かによって大きく異なり、同じ高さでも人工呼吸の要否が分かれる。急性期に人工呼吸を要しても離脱に至る例もある。個々の残存機能を評価し、急性期と以後で必要な支援が変わることを前提に組み立てる。合併症の管理=①呼吸(排痰、呼吸理学療法、感染の予防)、②排泄(間欠的導尿、排便の管理)、③褥瘡(除圧、体位変換、皮膚の観察、車椅子上でのプッシュアップ)、④自律神経過反射(損傷部位より下からの刺激=膀胱の充満、便秘、褥瘡などにより、突然の高血圧、頭痛、発汗、徐脈をきたす。対応は、まず上体を起こして下肢を下げ、締めつけている衣類や装具を緩め、数分ごとに血圧を測りながら、誘因(膀胱の充満が最も多く、次いで便秘、褥瘡)を探して除く。誘因を除いても血圧が下がらなければ受診と降圧を要する)、⑤体温の調節障害、⑥関節拘縮と異所性骨化、⑦深部静脈血栓症。学校への通学=医療的ケア児支援法により、学校への看護師の配置が進んでいる。教育委員会、学校、主治医、訪問看護、そして家族の連携で、通学の体制を整える。制度=身体障害者手帳、特別児童扶養手当、障害児福祉手当、小児慢性特定疾病医療費助成、障害者総合支援法のサービス(居宅介護、重度訪問介護、短期入所)、児童福祉法のサービス(放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援)、そして日常生活用具の給付。家族への支援=介護の分担、きょうだいへの配慮、親の就労、休息、そして将来の見通し。子ども本人の成長に伴い、必要な支援も変わっていくため、継続的な関わりが求められる。
間違えやすい考え方
対応を2つ選ぶ型で、誤肢が希望の無視・負担の集中・話題の回避である。家族全体を見る視点で切る。
5分で振り返る
①家族の危機は、きょうだいにも強い影響を与える。退行(おねしょ、甘え)、不安、身体症状、問題行動として現れる。あらかじめ伝えることで、家族が驚かず責めずに受け止められる。②社会資源を紹介し、家族が選べるようにする。③本人が通常の学校への通学を希望している。医療的ケア児支援法により学校への看護師の配置が進んでいる。就学先は本人と保護者の意見を最大限に尊重して決める。④ケアを母親一人に集中させない。父母で分担し、訪問看護・訪問介護・学校の看護師を組み合わせる。⑤事故について話さないことは、それぞれが一人で抱えることになる。年齢に応じて共有し、弟には「自分のせいではない」と伝える。⑥頸髄損傷の合併症=呼吸、排泄、褥瘡、自律神経過反射、体温調節障害、拘縮、深部静脈血栓症。⑦自律神経過反射は、膀胱の充満や便秘が引き金になり、原因の除去が対応になる。
1分チェック
- 頸髄損傷の子どもの家族には。→ きょうだいの退行に注意を促し、社会資源を紹介する。
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