精神保健における三次予防はどれか。2つ選べ。
公式正答:1・4
解説
精神保健における三次予防を2つ選ぶ。うつ病患者のリワーク支援を行うこと、および精神障害者の長期入院による自発性の低下を予防することである。
この問題で問われていること
予防の3段階を、対象と目的で区別できるか。
しくみから理解する
予防は3つの段階に分けられる。一次予防=疾病の発生そのものを防ぐ(健康な人が対象。健康教育、環境の整備、偏見の解消)。二次予防=早期発見と早期治療により、重症化を防ぐ(無症状または初期の人が対象。健診、スクリーニング、相談)。三次予防=既に発症した人について、再発を防ぎ、機能の低下と障害の残存を防ぎ、社会復帰を進める(患者が対象。リハビリテーション、再発予防、社会復帰の支援)。リワーク支援は、うつ病により休職した人の職場復帰を支える取り組みであり、三次予防になる。長期入院による自発性の低下(施設症)の予防も、既に入院している患者の機能の低下を防ぐ取り組みであり、三次予防になる。
選択肢ごとの確認
災害時の精神的支援を行うボランティアの育成は、一次予防になる。まだ起きていない事態に備えて、精神的な問題の発生を防ぐための体制をつくる取り組みになる。
自殺企図をして未遂だった人の希死念慮を確認することは、二次予防にあたる。既に企図があった人に対して、再企図という重大な結果を早期に発見し防ぐ取り組みになる。ただし、既に生じた事態への対応として三次予防と捉える考え方もあり、分類には幅がある。この設問では、公式正答が1と4であることから、二次予防として整理される。
アンチ・スティグマ・キャンペーン(偏見の解消の取り組み)は、一次予防になる。偏見が受診の遅れと孤立を招くため、それを減らすことで、精神疾患の発生と悪化を防ぐという位置づけになる。
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混同しやすいポイント
「誰が対象か」に加えて、「何を目的に、いつ介入するか」で判断する。一次=健康な人や集団全体への働きかけで、発症そのものを防ぐ。二次=症状が出始めた人やリスクのある人への早期発見と早期介入で、重症化を防ぐ。三次=既に疾患を持つ人に対する、機能の回復、社会復帰、そして再発の防止。対象だけで見ると、自殺未遂のように既に問題が生じた人への危機介入まで三次に入ってしまうが、それは早期介入にあたり二次予防になる。リワーク支援と施設症の予防は、いずれも「既に疾患を持つ人」が対象になる。誤肢のうち、ボランティアの育成とキャンペーンは集団への働きかけであり、一次予防だと分かる。
理解を深める
精神保健における予防の実際を整理する。一次予防=①心の健康づくり(ストレスへの対処、睡眠、運動、相談できる関係)、②職場のメンタルヘルス(ストレスチェック、労働環境の改善、管理職への教育)、③学校での取り組み、④偏見の解消(正しい知識の普及、当事者の語り)、⑤自殺対策(相談窓口の周知、ゲートキーパーの養成、手段へのアクセスの制限)。二次予防=①早期の発見(健診、ストレスチェックの後の面接、周囲の気づき)、②早期の相談と受診(産業医、精神保健福祉センター、保健所、かかりつけ医)、③危機への介入。三次予防=①再発の予防(服薬の継続、心理教育、症状の自己管理)、②リハビリテーション(デイケア、作業療法、社会生活技能訓練)、③就労支援(リワーク、就労移行支援、就労継続支援、ジョブコーチ)、④生活の支援(グループホーム、訪問看護、ヘルパー)、⑤施設症の予防(長期入院による意欲の低下、社会性の喪失、自発性の低下を防ぐため、外出、活動、役割、そして退院に向けた支援を行う)。日本の精神科医療は、入院期間が長いことが課題とされ、地域生活への移行が政策として進められている。看護は、この3つの段階すべてに関わる。
間違えやすい考え方
予防の段階を2つ選ぶ型で、誤肢が一次予防と二次予防である。誰が対象かで切る。
5分で振り返る
①一次予防=疾病の発生を防ぐ(健康な人、集団が対象)。健康教育、環境の整備、偏見の解消、ボランティアの育成。②二次予防=早期発見と早期治療により重症化を防ぐ(症状が出始めた人、リスクのある人が対象)。健診、スクリーニング、危機への介入。③三次予防=再発を防ぎ、機能の低下と障害の残存を防ぎ、社会復帰を進める(既に疾患を持つ人が対象)。④リワーク支援=うつ病で休職した人の職場復帰の支援。三次予防。⑤施設症(長期入院による意欲と自発性の低下)の予防も三次予防。⑥アンチ・スティグマ・キャンペーンは一次予防。⑦判断は「誰が対象か」で行う。
1分チェック
- 三次予防にあたるのは。→ リワーク支援と、長期入院による自発性の低下の予防。
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