高齢者の血液検査の結果で成人の基準値と比較して値が高くなるのはどれか。 2つ選べ。
公式正答:2・4
解説
高齢者の血液検査の結果で、成人の基準値と比較して値が高くなるものを2つ選ぶ。尿素窒素と食後血糖値である。
この問題で問われていること
加齢に伴う臓器の機能の変化から、検査値の方向を導けるか。
しくみから理解する
尿素窒素は、腎の排泄機能を反映する。加齢により糸球体濾過量が低下するため、尿素窒素は上昇する傾向になる。一方、クレアチニンは、筋肉量の減少により産生が減るため、腎機能が落ちていても見かけ上あまり上がらない。このため、高齢者の腎機能はクレアチニンだけで判断できず、推算糸球体濾過量を用いる必要がある。食後血糖値も上昇する。加齢により、インスリンの分泌の反応が遅れ、また末梢でのインスリンの効きが悪くなる(インスリン抵抗性)ため、食後の血糖が下がりにくくなる。空腹時血糖の上昇は軽度で、食後の値の方が顕著に上がる点が特徴になる。
選択肢ごとの確認
血小板数は、加齢によって大きく変化しない。基準値の範囲内で推移する。
白血球数も、加齢による大きな変化はない。ただし、機能(遊走、貪食、殺菌)は低下する。数は保たれるが、はたらきが落ちるという形になる。また、感染時に白血球が増えにくいという特徴もある。
AST(GOT)は、加齢による大きな変化はない。肝機能の指標であり、疾患がなければ基準値の範囲内で推移する。
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混同しやすいポイント
「加齢で変わるもの」と「変わらないもの」を区別する。変わるもの=尿素窒素(上昇)、食後血糖(上昇)、クレアチニンクリアランスと推算糸球体濾過量(低下)、アルブミン(軽度低下)、赤血球とヘモグロビン(軽度低下)、肺活量と1秒量(低下)、そして骨密度(低下)。変わらないもの=血小板数、白血球数、肝機能の指標、電解質、そして空腹時血糖(軽度の上昇にとどまる)。この区別を持つと、高齢者の検査値を「加齢によるもの」と「疾患によるもの」に分けて考えられる。
理解を深める
高齢者の検査値の解釈を整理する。腎=糸球体濾過量は、30歳以降おおむね年に1%程度ずつ低下する。クレアチニンは筋肉量に依存するため、高齢者やるい痩の人では腎機能を過大評価しやすい。薬の用量の調整には、推算糸球体濾過量またはクレアチニンクリアランスを用いる。とくに、腎排泄の薬(ジゴキシン、多くの抗菌薬、そして一部の糖尿病治療薬)では重要になる。糖代謝=食後の血糖が上がりやすいため、空腹時血糖だけでは糖尿病を見逃すことがある。HbA1cとあわせて評価する。ただし赤血球の寿命が変わる状態では、HbA1cがずれる。向きは機序によって異なる。未治療の鉄欠乏性貧血では赤血球の寿命が延び、実際より高く出る(鉄剤を始めると低下する)。逆に、溶血性貧血、出血の後、そして腎性貧血に対する赤血球造血刺激因子製剤の投与では、若い赤血球が増えて低く出る。輸血も通常は低く出る。判断できない場合は、グリコアルブミンなど別の指標を併せる。血液=赤血球とヘモグロビンは軽度低下するが、貧血を「加齢のせい」と片づけず、原因を検索する。栄養=アルブミンは低下傾向だが、著しい低値は低栄養または疾患を示す。高齢者の栄養評価には、体重の変化、上腕周囲径、下腿周囲径、そして食事の摂取量もあわせて用いる。看護では、検査値を単独で見るのではなく、その人の体格、疾患、薬剤、そして日常の様子と結びつけて解釈することが求められる。基準値から少し外れていることと、異常であることは同じではない。
間違えやすい考え方
検査値の方向を2つ選ぶ型で、誤肢が加齢で変わらない項目である。変わるものと変わらないものを区別して切る。
5分で振り返る
①尿素窒素は、糸球体濾過量の低下により上昇する。②クレアチニンは筋肉量の減少で産生が減るため、腎機能が落ちても上がりにくい。推算糸球体濾過量で評価する。③食後血糖値は、インスリンの分泌の遅れと抵抗性により上昇する。空腹時血糖の上昇は軽度にとどまる。④血小板数、白血球数、ASTは加齢で大きく変わらない。⑤白血球は数より機能(遊走、貪食、殺菌)が低下し、感染時に増えにくい。⑥加齢で低下するもの=糸球体濾過量、アルブミン(軽度)、赤血球とヘモグロビン(軽度)、肺活量、骨密度。⑦検査値は、体格、疾患、薬剤、日常の様子と結びつけて解釈する。
1分チェック
- 高齢者で高くなるのは。→ 尿素窒素と食後血糖値。
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