高齢者の睡眠で正しいのはどれか。2つ選べ。
公式正答:4・5
解説
高齢者の睡眠で正しいものを2つ選ぶ。中途覚醒の回数が増加すること、および入眠するまでに時間がかかることである。
この問題で問われていること
加齢に伴う睡眠の変化を、構造の面から説明できるか。
しくみから理解する
加齢とともに、睡眠は浅く、断片化していく。深いノンレム睡眠(徐波睡眠)が減り、浅いノンレム睡眠が増えるため、わずかな刺激で目が覚めやすくなる。その結果、中途覚醒の回数が増える。また、入眠までに要する時間(入眠潜時)も長くなる。加えて、体内時計の位相が前へずれるため、早い時刻に眠くなり、早朝に目が覚める(早朝覚醒)。総睡眠時間は短くなり、その分を昼寝で補うようになるため、1日の中で睡眠が複数回に分かれる(多相性)。
選択肢ごとの確認
単相性ではなく、多相性の睡眠になる。夜間の睡眠が短く断片化する分、日中の昼寝が増え、1日の中で睡眠が複数回に分かれる。乳児期も多相性で、成人期に単相性となり、高齢期に再び多相性へ向かう。
浅い眠りは少なくならず、増える。深いノンレム睡眠が減り、浅いノンレム睡眠の割合が増える。これが中途覚醒の増加の背景になる。
総睡眠時間は延長せず、短縮する。個人差はあるが、加齢とともに夜間の睡眠時間は短くなる。ただし、昼寝を含めた1日の総睡眠時間は、大きく変わらないこともある。
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混同しやすいポイント
誤肢は、いずれも変化の方向が逆になっている。「浅く、短く、断片化し、前へずれる」という4つの方向で整理すると、すべて判断できる。これらは加齢に伴う生理的な変化であり、必ずしも治療の対象ではない。「若い頃と同じように眠れない」ことを問題視しすぎないことも、指導の要点になる。
理解を深める
高齢者の睡眠の支援を整理する。生理的な変化=深い睡眠の減少、中途覚醒の増加、入眠潜時の延長、早朝覚醒、総睡眠時間の短縮、そして多相性化。病的な要因=①身体(疼痛、掻痒、呼吸困難、頻尿、こむら返り、逆流性食道炎)、②睡眠時無呼吸症候群(いびき、日中の眠気、無呼吸の指摘)、③むずむず脚症候群と周期性四肢運動障害、④レム睡眠行動障害(夢の内容に一致した行動。レビー小体型認知症とパーキンソン病に関連する)、⑤精神(うつ病、不安、認知症)、⑥薬剤(利尿薬の夕方の服用、ステロイド、一部の降圧薬、そしてカフェイン)、⑦環境(音、光、温度、同室者)。指導=①起床の時刻を一定にする、②朝に日光を浴びる、③日中の活動を増やす、④昼寝は午後3時までに30分以内、⑤就寝前のカフェイン、アルコール、喫煙を避ける、⑥入浴は就寝の1〜2時間前、⑦寝室の環境を整える、⑧眠れないときはいったん床を離れる、⑨眠るために飲酒しない(アルコールは入眠を早めるが、睡眠を浅くし、中途覚醒を増やす)。薬物療法=高齢者では、ふらつき、転倒、日中の眠気、認知機能への影響、そして依存のリスクがあるため慎重に用いる。とくにベンゾジアゼピン系は、転倒と骨折のリスクを高めるため、非薬物的な対応を優先する。
間違えやすい考え方
加齢の変化を2つ選ぶ型で、誤肢がすべて方向の逆である。「浅く、短く、断片化し、前へずれる」で切る。
5分で振り返る
①加齢で深いノンレム睡眠が減り、浅い睡眠が増えるため、中途覚醒が増える。②入眠潜時(眠りにつくまでの時間)も長くなる。③体内時計の位相が前へずれ、早い時刻に眠くなり早朝に目覚める。④総睡眠時間は短縮し、昼寝が増えて多相性になる(単相性ではない)。⑤病的な要因=疼痛、頻尿、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群、レム睡眠行動障害、うつ病、薬剤、環境。⑥指導=起床時刻を一定に、朝の日光、日中の活動、昼寝は午後3時までに30分以内、就寝前のカフェインとアルコールを避ける。⑦アルコールは入眠を早めるが睡眠を浅くし中途覚醒を増やす。ベンゾジアゼピン系は転倒のリスクを高める。
1分チェック
- 高齢者の睡眠は。→ 中途覚醒が増え、入眠までに時間がかかる。
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