肝切除術後3日の患者のドレーンから黄褐色の排液がみられた。 考えられる原因はどれか。
公式正答:4
解説
肝切除術後3日の患者のドレーンから黄褐色の排液がみられた場合に考えられる原因を問う。胆汁漏である。
この問題で問われていること
排液の色から、何が漏れているかを推定できるか。
しくみから理解する
胆汁は黄褐色から緑褐色を呈する。肝切除では、肝内の胆管が切離面に露出するため、その閉鎖が不完全であったり、細い胆管を見落としたりすると、胆汁が腹腔内へ漏れる。これが胆汁漏で、術後数日で排液の色の変化として現れることが多い。漏れた胆汁は腹膜を強く刺激して胆汁性腹膜炎を起こし、腹痛、発熱、腹膜刺激症状をきたす。診断は、排液中のビリルビン濃度を測定し、血清値より著しく高ければ確定する。多くはドレナージによって軽快するが、長引く場合は内視鏡的な処置を要する。
選択肢ごとの確認
黄疸は皮膚と眼球結膜が黄染する状態であり、ドレーンの排液の色を説明するものではない。ただし肝切除後に肝機能が低下すれば黄疸を生じうる。この場合も、排液が黄褐色になる直接の原因は胆汁の漏出である。
出血であれば、排液は血性(鮮紅色から暗赤色)を呈する。術直後は淡血性のことが多く、次第に淡くなっていくのが通常の経過である。急に鮮血性となり量が増えれば術後出血を疑う。黄褐色ではない。
腹水は、通常は淡黄色から淡黄褐色の漿液性の液体である。肝切除後、とくに肝硬変を背景に持つ患者では腹水が増えることがある。ただし黄褐色という表現は胆汁により合致し、また術後3日という時期と合わせて胆汁漏を第一に考える。判別にはビリルビン濃度の測定が有用になる。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
排液の色と性状から病態を推定する型である。血性=出血、黄褐色〜緑褐色=胆汁、混濁して膿性=感染、乳白色=乳び(リンパ液)、淡黄色の漿液性=滲出液や腹水、腸内容様=縫合不全。色の情報は看護師が最初に気づく所見であり、変化を記録して報告することが早期発見につながる。
理解を深める
肝切除術後の主な合併症は、出血、胆汁漏、肝不全、腹腔内膿瘍、胸水、感染である。肝不全は、切除量が多い場合や、もともとの肝機能が低下している場合に起こり、黄疸、腹水、意識障害(肝性脳症)、凝固能の低下として現れる。術前には、肝機能(Child-Pugh分類、インドシアニングリーン試験)を評価して切除可能な範囲を決める。看護では、ドレーン排液の量・色・性状、腹痛、発熱、腹部膨満、黄疸、意識状態、出血傾向、血糖(肝の糖新生が低下すると低血糖を起こしうる)を観察する。肝性脳症の早期の徴候として、羽ばたき振戦、日中の傾眠、性格の変化、計算力の低下がある。栄養管理も重要で、蛋白質の制限は必要な場合に限り、むしろ十分なエネルギーと分岐鎖アミノ酸の補給が推奨される場面が多い。早期離床と呼吸器合併症の予防も、他の腹部手術と同様に行う。
間違えやすい考え方
排液の色から原因を問う型で、誤肢が黄疸・出血・腹水である。色と性状の対応表で切る。
5分で振り返る
①胆汁は黄褐色〜緑褐色。肝切除では切離面の胆管から漏れうる。②術後数日で排液の色の変化として現れる。③胆汁性腹膜炎となり腹痛・発熱・腹膜刺激症状。④確定は排液中のビリルビン濃度(血清値より著しく高い)。⑤出血は血性、感染は膿性、乳びは乳白色、腹水は淡黄色の漿液性。⑥肝切除後の合併症は出血・胆汁漏・肝不全・膿瘍・胸水。⑦肝性脳症の早期徴候は羽ばたき振戦と傾眠。
1分チェック
- 肝切除後の黄褐色の排液は。→ 胆汁漏(ビリルビン濃度で確定)。
この問題に対応する教材の確認中です。