次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃんは出生前診断で羊水過多があり先天性食道閉鎖症〈congenitalesophagealatresia〉の疑いを指摘されていた。在胎37週5日に帝王切開で出生、出生体重2,780g、Apgar〈アプガー〉スコア1分後8点、5分後9点である。出生後、Aちゃんは先天性食道閉鎖症〈congenitalesophagealatresia〉と診断された。
A ちゃんは、出生当日に胃瘻造設、気管食道瘻切断と食道端々吻合術を受け、 無事に終了した。術後2日、人工呼吸器管理下で胸腔ドレーンが挿入されている。 このときの看護で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
先天性食道閉鎖症に対する胃瘻造設、気管食道瘻切断、食道端々吻合術の術後2日、人工呼吸器管理下で胸腔ドレーンが挿入されている新生児への看護を問う。唾液の吸引時に吸引チューブの挿入を吻合部の手前までにすることである。
この問題で問われていること
術後の吻合部を守るという観点から、手技を選べるか。
しくみから理解する
食道の端々吻合を行った直後は、吻合部が最も脆弱な時期になる。吸引チューブを吻合部を越えて挿入すると、縫合部を機械的に損傷し、縫合不全を起こす危険がある。縫合不全は、縦隔炎、膿胸、敗血症といった重篤な合併症につながる。そのため、吸引チューブの挿入の深さをあらかじめ決めて(挿入可能な長さに印をつけて)、吻合部の手前までにとどめる。この指示は医師から明示され、看護師間で確実に共有される必要がある。
選択肢ごとの確認
頸部を伸展させる体位は、吻合部に張力をかけるため避ける。食道の端々吻合では、離れた両端を引き寄せて縫合しているため、頸部を伸展すると吻合部が引っ張られて縫合不全のリスクが高まる。術後は頸部を軽度屈曲位に保つ。
術後2日で摂食嚥下機能の獲得の支援を開始するのは早すぎる。まだ人工呼吸器管理下にあり、吻合部の治癒も得られていない。経口摂取の開始は、造影検査で吻合部の通過とリークがないことを確認してからになる。それまでは胃瘻からの栄養になる。
親が自由に抱っこするのを見守ることは、この時期には適さない。人工呼吸器と胸腔ドレーンが留置されており、抱っこにはチューブ類の管理と体位への配慮が必要になる。親子の接触は極めて重要であるため、禁じるのではなく、看護師が介助して安全に触れられる方法(手を握る、体に触れる、状態が安定すれば介助下での抱っこ)を提供する。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
『吻合部を守る』という一点から、吸引の深さと頸部の体位が導ける。誤肢1は、まさに吻合部に張力をかける誤りになっている。誤肢2は時期の誤り、誤肢3は安全への配慮の欠如になる。新生児の術後管理では、成人と同じ原則(吻合部の保護、感染の予防、疼痛の管理)に加えて、体格の小ささゆえの繊細さと、親子の関係を支えるという視点が加わる。
理解を深める
術後の観察としては、呼吸状態(人工呼吸器の設定と同調、酸素飽和度、胸郭の動き)、胸腔ドレーンの排液(量、性状。唾液様のものが出れば縫合不全を疑う)、体温と感染の徴候、循環(心拍数、血圧、末梢の循環)、そして疼痛の評価と管理になる。新生児では、疼痛の評価に専用のスケール(顔の表情、啼泣、呼吸パターン、四肢の動き、覚醒状態を点数化するもの)を用いる。疼痛は、循環と呼吸に影響し、また将来の痛みへの反応にも影響するため、適切に緩和する必要がある。親への支援も重要な要素になる。出生直後に手術を受けるという事態は、親にとって大きな衝撃であり、罪悪感、不安、そして子どもとの関係を築けないことへの焦りを抱えることが多い。子どもの状態を分かりやすく説明し、できる関わり(声をかける、触れる、母乳を搾って届ける)を提供し、親としての実感を持てるよう支えることが、その後の親子関係の基盤になる。
間違えやすい考え方
『適切な看護』を問う型で、誤肢が吻合部に張力をかける体位・時期の誤り・安全への配慮の欠如である。吻合部の保護で切る。
5分で振り返る
①食道端々吻合の直後は吻合部が脆弱で、吸引チューブが越えると縫合不全を招く。②挿入の深さを決めて印をつけ、看護師間で共有する。③頸部の伸展は吻合部に張力をかけるため、軽度屈曲位に保つ。④経口摂取は造影で通過とリークがないことを確認してから、それまでは胃瘻栄養。⑤親の抱っこは禁じるのではなく、介助して安全に行う。⑥胸腔ドレーンに唾液様の排液があれば縫合不全を疑う。⑦新生児の疼痛は専用スケールで評価し緩和する。
1分チェック
- 食道吻合術後の吸引は。→ 吻合部の手前まで(越えると縫合不全を招く)。頸部は軽度屈曲位。
この問題に対応する教材の確認中です。