成人の静脈血採血の穿刺部位で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
成人の静脈血採血の穿刺部位で適切なものを問う。肘正中皮静脈である。
この問題で問われていること
採血部位の選択を、解剖学的な安全性から判断できるか。
しくみから理解する
肘正中皮静脈は、肘窩で橈側皮静脈と尺側皮静脈をつなぐ静脈で、表在性で太く、比較的固定されていて動きにくく、周囲に重要な神経や動脈が少ない。そのため、成人の静脈血採血の第一選択になる。次いで橈側皮静脈が選ばれる。尺側皮静脈は、上腕動脈と正中神経が近くを走行するため、優先度が下がる。採血の合併症として、神経損傷(しびれ、痛みの持続)と動脈穿刺があり、部位の選択がこれらの予防に直結する。
選択肢ごとの確認
腋窩静脈は深部を走行する太い静脈で、体表からの穿刺には適さない。中心静脈カテーテルの挿入経路として用いられることはあるが、通常の採血の部位ではない。
上腕静脈も深部を走行し、上腕動脈と伴走する。表在性ではないため、通常の採血には用いない。
腕頭静脈は、内頸静脈と鎖骨下静脈が合流して形成される胸腔内の太い静脈である。体表から穿刺できる部位ではない。
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混同しやすいポイント
『表在性で、太く、動かず、周囲に危険な構造が少ない』という4条件で選ぶ。誤肢はいずれも深部を走行する静脈であり、体表からの採血には適さない。名称だけを見ると紛らわしいが、解剖学的な位置を思い浮かべれば区別できる。前腕や手背の静脈も採血に使えるが、細く痛みが強い。
理解を深める
採血の実施では、いくつかの注意点がある。駆血帯は穿刺部位から7〜10cm中枢側に巻き、1分以上締め続けない(血液の性状が変化する)。手を強く握ったり開いたりを繰り返す動作(クレンチング)はカリウム値を上昇させるため避ける。穿刺の角度は10〜30度程度。針を刺した際に、電撃痛やしびれを訴えたら直ちに抜針する(神経損傷の徴候)。拍動性に鮮紅色の血液が逆流したら動脈穿刺を疑い、抜針して5分以上圧迫する。抜針後は、揉まずに5分程度圧迫止血する(揉むと皮下出血を起こす)。抗凝固薬を服用している患者では、より長く圧迫する。麻痺のある側、乳房切除術で腋窩リンパ節郭清を行った側、シャントのある側、輸液中の側では採血を避ける。採血後は、患者の状態(気分不良、迷走神経反射)を観察する。真空採血管を用いる場合は、採血の順序(凝固検査、生化学など)にも規定がある。
間違えやすい考え方
部位を問う型で、誤肢がすべて深部の静脈である。表在性・太い・動かない・安全という4条件で切る。
5分で振り返る
①肘正中皮静脈が第一選択(表在性、太い、動かない、周囲に危険な構造が少ない)。②次いで橈側皮静脈。尺側皮静脈は上腕動脈と正中神経が近く優先度が下がる。③腋窩静脈・上腕静脈・腕頭静脈は深部を走行し体表からの採血に適さない。④駆血帯は7〜10cm中枢側、1分以上締めない。⑤クレンチングはカリウム値を上げるので避ける。⑥電撃痛やしびれは神経損傷の徴候で直ちに抜針。⑦抜針後は揉まずに5分程度圧迫する。
1分チェック
- 成人の静脈血採血の第一選択は。→ 肘正中皮静脈。
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