高齢という理由で高齢者を画一的に捉え、差別することを意味するのはどれか。
公式正答:1
解説
高齢という理由で高齢者を画一的に捉え、差別することを意味するものを問う。エイジズムである。
この問題で問われていること
用語の意味を、他の概念と区別できるか。
しくみから理解する
エイジズムは、年齢を理由とする偏見と差別を指す。バトラーが提唱した概念で、人種差別や性差別と並ぶ差別の形として位置づけられる。高齢者に対して、「高齢者は皆同じである」「頑固だ」「新しいことを覚えられない」「役に立たない」といった固定的な見方をし、それに基づいて機会を制限したり、扱いを変えたりすることが該当する。医療の場面では、年齢だけを理由に治療の選択肢を提示しない、本人ではなく家族に説明する、子ども扱いした言葉づかいをする、といった形で現れうる。
選択肢ごとの確認
アディクションは嗜癖・依存を指す。アルコール、薬物、ギャンブル、インターネットといった対象に対して、制御できずに繰り返す状態をいう。年齢差別とは無関係になる。
パターナリズム(父権主義)は、本人のためだと考えて、本人の意思を確認せずに医療者や周囲が決定してしまうあり方を指す。高齢者に対して生じやすく、エイジズムと結びつくことも多いが、概念としては「本人の意思の軽視」であり、「年齢による差別」とは別になる。
アンチエイジングは、老化に抗う、あるいは老化を遅らせようとする医学的・美容的な取り組みを指す。差別を意味する語ではない。ただし、老いることを否定的に捉える価値観を強めるという批判もあり、エイジズムとの関連が議論されることはある。
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混同しやすいポイント
選択肢3のパターナリズムとの区別が要点になる。エイジズム=年齢を理由とした偏見と差別(属性による扱いの違い)。パターナリズム=本人の意思を確認せずに決めること(意思の軽視)。両者は重なる場面が多いが、焦点が異なる。「高齢だから説明しても分からないだろう」と考えて家族にだけ説明する行為は、エイジズムとパターナリズムの両方を含む。
理解を深める
エイジズムは、無意識のうちに現れることが多い。看護の場面で自覚すべき例としては、高齢というだけで「認知症だろう」と決めつける、本人が話しているのに家族に向かって答える、幼児に対するような言葉づかい(〜しましょうねと過度に繰り返す、愛称で呼ぶ)、回復の見込みを年齢だけで判断する、リハビリテーションの目標を低く設定する、意思決定の場から本人を外す、といったことが挙げられる。これらは悪意なく行われるだけに、気づきにくい。対策としては、その人の生活史と価値観を知ること、本人に直接尋ねること、年齢ではなく状態と希望で判断すること、そして自分の言葉づかいと態度を振り返ることがある。世界保健機関は、エイジズムが高齢者の健康と寿命に実際に悪影響を及ぼすことを指摘しており、単なる態度の問題ではなく健康課題として扱われている。高齢者自身が内面化したエイジズム(自分はもう年だから、と諦める)も、活動の縮小と健康の悪化を招く。
間違えやすい考え方
用語を問う型で、誤肢が依存・意思の軽視・老化への抵抗である。年齢による差別という定義で切る。
5分で振り返る
①エイジズム=年齢を理由とする偏見と差別(バトラーが提唱)。②医療の場では、年齢だけで治療の選択肢を狭める、本人でなく家族に説明する、子ども扱いの言葉づかいとして現れる。③アディクションは嗜癖・依存、パターナリズムは本人の意思を確認せず決めること、アンチエイジングは老化への抵抗。④エイジズムとパターナリズムは重なるが焦点が違う。⑤無意識に現れるため、自分の態度を振り返る必要がある。⑥高齢者自身が内面化することもある。⑦世界保健機関は健康への悪影響を指摘している。
1分チェック
- エイジズムとは。→ 年齢を理由とする偏見と差別。
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