高齢者の不眠の要因はどれか。
公式正答:3
解説
高齢者の不眠の要因を問う。就寝直前に42℃以上の風呂に入ることである。
この問題で問われていること
睡眠と体温の関係を説明できるか。
しくみから理解する
入眠には、深部体温が下がることが必要になる。人は、手足の血管を拡張させて熱を放散し、深部体温を下げることで眠りに入る。42℃以上の熱い湯に就寝直前に入ると、交感神経が刺激されて覚醒度が上がり、また深部体温が上がったままになるため、入眠が妨げられる。入浴は、就寝の1〜2時間前に、38〜40℃程度のぬるめの湯に入るのが望ましい。この場合、入浴で一度上がった深部体温が、その後下がっていく過程が入眠を助ける。
選択肢ごとの確認
午前中の日光浴は、不眠の要因ではなく改善に働く。朝の光が体内時計を24時間に同調させ、その約14〜16時間後にメラトニンの分泌が始まることで、夜の入眠が促される。高齢者では外出の機会が減り、光を浴びる量が不足しがちなため、意識的に取り入れる意義が大きい。
昼食後の30分程度の午睡も、不眠の要因にならない。むしろ、午後の早い時間帯の短時間(30分以内)の仮眠は、日中の眠気を減らし、夜の睡眠を妨げないとされる。避けるべきは、夕方以降の仮眠と、長時間の昼寝になる。
就寝前の100mL程度のホットミルクも問題にならない。温かい飲み物はリラックスを促す。ただし、多量の水分は夜間の排尿を増やすため、量は控えめにする。カフェインとアルコールは避ける(アルコールは入眠を促すように感じられるが、睡眠を浅くし、中途覚醒と早朝覚醒を増やす)。
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混同しやすいポイント
誤肢3つは、いずれも睡眠を改善する方向の行動になっている。日光浴、短い午睡、温かい飲み物。正答だけが睡眠を妨げる要因になる。「深部体温が下がることで眠りに入る」という生理を押さえれば、熱い湯が直前では妨げになると導ける。
理解を深める
高齢者の睡眠は、加齢に伴って変化する。深いノンレム睡眠が減り、中途覚醒が増え、睡眠時間が短くなり、入眠と起床の時刻が前倒しになる(早寝早起きになる)。これらは加齢による自然な変化であり、必ずしも治療の対象ではない。「若い頃と同じように眠れない」ことを異常と考えて薬に頼ると、かえって転倒や日中の眠気を招く。睡眠衛生の指導としては、起床時刻を一定にする、朝の光を浴びる、日中に活動する、午睡は午後の早い時間に30分以内、夕方以降のカフェインを避ける、就寝前の飲酒と喫煙を避ける、入浴は就寝1〜2時間前にぬるめで、寝室を暗く静かに適温に、眠くなってから床に就く、眠れないときは一度床を離れる、といった内容がある。不眠の背景に、痛み、頻尿、かゆみ、呼吸困難、下肢のむずむず感、抑うつ、認知症、薬剤の影響がないかを確認することも重要になる。原因があればそちらへの対応が先になる。
間違えやすい考え方
要因を問う型で、誤肢がすべて睡眠を改善する行動である。深部体温の低下という生理で切る。
5分で振り返る
①入眠には深部体温の低下が必要(手足から熱を放散する)。②42℃以上の熱い湯は交感神経を刺激し深部体温を上げるため、就寝直前は避ける。③入浴は就寝1〜2時間前に38〜40℃で。④朝の光は体内時計を整え、14〜16時間後の入眠を促す。⑤午睡は午後の早い時間に30分以内なら問題ない。⑥アルコールは睡眠を浅くし中途覚醒を増やす。⑦加齢で深い睡眠が減り中途覚醒が増えるのは自然な変化。
1分チェック
- 就寝直前の熱い風呂は。→ 不眠の要因(交感神経の刺激と深部体温の上昇)。
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