高齢者のサルコペニアの予防に関する指導内容で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
高齢者のサルコペニアの予防に関する指導内容で適切なものを問う。筋肉に負荷をかける運動をすることである。
この問題で問われていること
サルコペニアの定義と、予防の中心を理解しているか。
しくみから理解する
サルコペニアは、加齢に伴って骨格筋量が減少し、筋力または身体機能が低下した状態を指す。予防と改善の中心は、筋肉に負荷をかける運動(レジスタンス運動)と、十分な蛋白質の摂取になる。筋肉は使わなければ減り、負荷をかければ高齢でも増やすことができる。有酸素運動も全身の機能には有益だが、筋量を増やす効果はレジスタンス運動のほうが大きい。スクワット、椅子からの立ち上がり、かかと上げ、ゴムバンドを使った運動といった、日常に組み込める方法が指導される。
選択肢ごとの確認
読書は認知機能や生活の楽しみという点では意義があるが、筋肉への負荷にはならない。座位の時間が長くなれば、むしろ筋量の減少を助長しうる。
飲酒をやめることは、健康全般には有益な場合があるが、サルコペニアの予防として第一に指導する内容ではない。過度の飲酒は栄養の偏りと筋肉の合成の阻害を招くため無関係ではないが、適量であれば一律に禁じるものでもない。
塩分の制限は、高血圧や心不全、腎疾患の管理として重要だが、サルコペニアの予防とは直接関係しない。むしろ、過度の食事制限は食欲と摂取量を減らし、蛋白質とエネルギーの不足を招いて、サルコペニアを悪化させうる。高齢者では、生活習慣病の管理のための制限と、低栄養の予防のバランスを考える必要がある。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
『筋肉を増やすには何が必要か』という単純な問いに戻ると答えが決まる。負荷をかける運動と、材料となる蛋白質。誤肢は、認知的な活動、嗜好品の制限、栄養素の制限であり、いずれも筋肉を増やす方向には働かない。とくに選択肢3は、高齢者に対する制限の指導が、かえって低栄養を招くという重要な論点を含んでいる。
理解を深める
サルコペニアの診断には、筋量の測定(生体電気インピーダンス法など)に加えて、筋力(握力)と身体機能(歩行速度、椅子立ち上がりテスト)の評価が用いられる。簡易な指標として、指輪っかテスト(両手の親指と人差し指で作った輪でふくらはぎを囲み、隙間ができれば筋量が少ない可能性がある)がある。フレイルは、加齢に伴う予備能力の低下により健康障害を起こしやすくなった状態を指し、身体的側面(サルコペニアを含む)だけでなく、精神・心理的側面(認知機能の低下、抑うつ)、社会的側面(閉じこもり、孤立、経済的困窮)を含む多面的な概念になる。フレイルは可逆的であり、適切な介入で改善しうる点が重要になる。栄養では、蛋白質を体重1kgあたり1.0〜1.2g程度(腎機能に問題がなければ)、そして分岐鎖アミノ酸を含む食品を、1日3食に分けて摂ることが推奨される。運動と栄養は、どちらか一方では効果が乏しく、組み合わせることで効果が高まる。
間違えやすい考え方
予防法を問う型で、誤肢が認知活動・嗜好品・栄養素の制限である。筋肉を増やす条件で切る。
5分で振り返る
①サルコペニア=加齢による骨格筋量の減少と、筋力または身体機能の低下。②予防と改善の中心はレジスタンス運動と十分な蛋白質。③高齢でも負荷をかければ筋肉は増える。④読書・飲酒の中止・塩分制限は筋肉を増やす方向に働かない。⑤過度の食事制限はかえって低栄養を招く。⑥診断は筋量+握力+歩行速度など。⑦フレイルは身体・精神心理・社会の多面的な概念で、可逆的である。
1分チェック
- サルコペニアの予防は。→ 筋肉に負荷をかける運動(レジスタンス運動)と十分な蛋白質。
この問題に対応する教材の確認中です。