新生児マススクリーニング検査(先天性代謝異常等検査)で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
新生児マススクリーニング検査(先天性代謝異常等検査)で正しいものを問う。早期新生児期に実施されることである。
この問題で問われていること
検査の時期・方法・対象疾患を把握しているか。
しくみから理解する
新生児マススクリーニングは、生後4〜6日頃(早期新生児期)に、足底から採取した血液を濾紙に染み込ませて検査する。この時期に行うのは、哺乳が確立してから一定量の栄養を摂取した後でないと、代謝異常が検出できないためである。早すぎると偽陰性になり、遅すぎると発症してからの発見になる。対象は、放置すれば知的障害や身体障害を残すが、早期に発見して治療を始めれば発症を防げる、あるいは軽減できる疾患になる。
選択肢ごとの確認
対象疾患数は5ではない。当初の5疾患は、フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ヒスチジン血症、ガラクトース血症だった。先天性甲状腺機能低下症は開始の2年後に加えられ、ヒスチジン血症は治療の必要が乏しいことから後に対象から外された。その後、タンデムマス法の導入により大幅に拡大し、現在は20疾患以上が対象になっている。自治体によって追加される疾患もある。
唾液ではなく血液を用いる。足底を穿刺して数滴の血液を採取し、濾紙に染み込ませて乾燥させた検体(濾紙血)を検査する。
治療法が確立していない疾患ではなく、確立している疾患を対象とする。スクリーニングの原則として、早期発見によって予後を改善できることが要件になる。治療法がなければ、早期に知らせることが本人と家族の利益にならない場合があるためで、この原則は遺伝学的検査全般に関わる重要な考え方になる。
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混同しやすいポイント
スクリーニング検査が成立する条件を理解しておくと、選択肢4の誤りが分かる。①その疾患が重大な健康問題である、②早期に発見できる方法がある、③早期に治療することで予後が改善する、④検査が安全で受け入れられる、⑤費用対効果が見合う。治療法の確立は必須の条件になる。時期(生後4〜6日)と検体(濾紙血)も併せて覚える。
理解を深める
対象疾患は、アミノ酸代謝異常症(フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症)、有機酸代謝異常症、脂肪酸代謝異常症、糖代謝異常症(ガラクトース血症)、そして内分泌疾患(先天性甲状腺機能低下症、先天性副腎過形成症)に大別される。頻度が高いのは先天性甲状腺機能低下症で、放置すれば知的障害と成長障害をきたすが、甲状腺ホルモンの補充を早期に始めれば正常な発達が期待できる。フェニルケトン尿症では、フェニルアラニンを制限した食事療法を続けることで発症を防げる。検査で陽性(要精密検査)となった場合、多くは精密検査で異常なしとなるが、その通知を受けた家族の不安は大きい。説明にあたっては、スクリーニングは確定診断ではないこと、精密検査で確認すること、そして万一疾患があっても治療法があることを、丁寧に伝える必要がある。近年は、重症複合免疫不全症や脊髄性筋萎縮症を対象に加える動きもある。
間違えやすい考え方
検査の要件を問う型で、誤肢が疾患数・検体・対象の条件の誤りである。スクリーニングの原則で切る。
5分で振り返る
①生後4〜6日(早期新生児期)に足底から採血し濾紙血で検査する。②早すぎると偽陰性、遅すぎると発症後の発見になる。③対象は治療法が確立し、早期治療で予後が改善する疾患。④当初の5疾患はフェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ヒスチジン血症、ガラクトース血症。その後、先天性甲状腺機能低下症が加わり、ヒスチジン血症が外れ、タンデムマス法の導入により20疾患以上へ拡大した。⑤アミノ酸・有機酸・脂肪酸・糖の代謝異常と内分泌疾患。⑥最も頻度が高いのは先天性甲状腺機能低下症。⑦陽性は確定診断ではないことを丁寧に伝える。
1分チェック
- 新生児マススクリーニングは。→ 生後4〜6日に濾紙血で実施。治療法が確立した疾患が対象。
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