包帯法で前腕部を固定した場合の観察項目で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
前腕を包帯で固定したあとの観察項目を問う。末梢冷感の有無を観察する。
この問題で問われていること
包帯固定で最も警戒すべき合併症は何か、そしてそれを何で捉えるかを結びつけられるか。
しくみから理解する
包帯を巻くと、その部位より末梢の循環が圧迫を受ける。締めすぎると静脈還流がまず妨げられて腫脹が進み、さらに動脈血流も減って組織が虚血に陥る。虚血が起これば末梢の皮膚温が下がり、冷感・蒼白・チアノーゼが現れる。前腕を固定した場合、末梢は手指であるから、手指の冷感、色調、腫脹、しびれ、運動、橈骨動脈の拍動が観察の対象になる。とくに冷感は早期に捉えやすい所見であり、循環障害が不可逆になる前に包帯を巻き直す判断につながる。
選択肢ごとの確認
悪寒は発熱の立ち上がりにみられる全身症状で、感染などを示唆する。包帯による局所の循環障害を捉える所見ではない。
全身状態を表す非特異的な症状で、包帯固定の直接の影響を反映しない。
上腕動脈は前腕より中枢側にあり、前腕の包帯より手前を流れている。包帯による圧迫の影響を評価するには、圧迫部位より末梢の橈骨動脈や手指を診なければならない。中枢側を診ても循環障害は検出できない。
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混同しやすいポイント
肢4は『動脈の触知』という一見もっともらしい観察項目だが、部位が中枢側である点が誤り。包帯の観察は必ず『固定部位より末梢』を診るという原則を押さえる。またギプス固定でも同じ原則が適用される。
理解を深める
圧迫による循環障害が進行すると、コンパートメント症候群に至ることがある。前腕や下腿では、筋膜に囲まれた区画(コンパートメント)の内圧が上昇し、動脈拍動が触れていても筋や神経が虚血に陥る。特徴は5P(疼痛 Pain、蒼白 Pallor、知覚異常 Paresthesia、麻痺 Paralysis、脈拍消失 Pulselessness)だが、脈拍消失は末期の所見であり、それを待ってはならない。最も早期かつ鋭敏な所見は、他動的に指を伸展させたときの強い疼痛である。前腕で放置するとVolkmann拘縮という不可逆の後遺症を残す。
間違えやすい考え方
『観察項目で適切なのはどれか』型で、誤肢に全身症状(悪寒・全身倦怠感)を混ぜて局所の問題から目をそらさせる。さらに肢4で部位をずらすという二段構えになっている。
5分で振り返る
①観察は必ず固定部位より末梢。②末梢冷感・蒼白・チアノーゼ・腫脹・しびれ・運動。③前腕固定なら手指と橈骨動脈。④進行するとコンパートメント症候群。⑤最早期の所見は他動伸展時痛、脈拍消失は末期。
1分チェック
- 包帯固定後に何を観察するか。→ 固定部位より末梢の冷感・色調・しびれ。
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