A さん(91 歳、男性)は市営団地の2 階に1 人で暮らしている。 hypertension 高血圧症で内服 治療しているが、他に既往歴はない。日常生活動作〈ADL〉は自立している。トイ レや浴室の段差でつまずくことがあり、手すりを設置した。最近は家でテレビを観 て過ごすことが多くなった。 A さんの生活状況で、国際生活機能分類〈ICF〉の「活動」に該当するのはどれか。
公式正答:4 または 5
「または」で区切った組のいずれかと一致すれば正解です。解説
高齢男性の生活状況のうち、ICFの「活動」に該当するものを問う。テレビを観て過ごすこと、および日常生活動作が自立していることである。
この問題で問われていること
ICFの構成要素を、具体的な生活の記述に当てはめられるか。
しくみから理解する
ICFは人間の生活機能を、心身機能・身体構造、活動、参加の3つのレベルで捉え、これらに影響する背景因子として環境因子と個人因子を置く。活動は、個人が行う課題や行為の遂行を指し、歩く、食べる、着替える、家事をする、余暇を過ごすといった具体的な行為が含まれる。テレビを観て過ごすことは、その人が日々そうしている行為そのものなので、活動として分類される。日常生活動作が自立していることも、活動の遂行状況を表す記述であり活動に該当する。この設問では両方が正答として扱われた。
選択肢ごとの確認
その人が置かれている生活状況を表すもので、背景因子(環境因子または個人因子)に該当する。行為そのものではない。
住環境の物的な要素であり、環境因子に該当する。生活機能を促進する因子として働く。
バランス機能の低下を示す所見であり、心身機能の問題として捉えられる。転倒リスクを示す情報であって、本人が行っている行為ではない。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
ICFでは『活動』と『参加』の区別も問われる。活動は個人が行う行為(歩く、着替える)、参加は社会的な場面への関与(就労、地域活動、家族内の役割)である。テレビを観るのは個人の行為なので活動、地域の集まりに出るのは参加、と分ける。またICFは、ICIDH(国際障害分類)が機能障害・能力低下・社会的不利という否定的な捉え方をしていたのに対し、中立的・肯定的な用語で生活機能を記述する点が転換点である。
理解を深める
この設問は、厚生労働省の正答表で4と5の両方が正答として扱われた(複数正答採用)。ADL自立という記述が、活動の遂行状況を表すとも、能力の水準を表すとも解釈でき、判断が分かれうるためと考えられる。学習上は、肢1・2・3が背景因子や心身機能に当たる理由を確実に押さえたうえで、活動とは「その人が現に遂行している課題や行為」であるという定義を軸にしておくとよい。ICFは、疾患ではなく生活の全体像を捉える枠組みとして、リハビリテーション、介護、地域包括ケアの共通言語になっている。
間違えやすい考え方
分類の当てはめを問う型で、判断が分かれた結果2つが正答となった。こうした設問では、明確に誤りといえる肢を消していく方針が有効である。
5分で振り返る
①ICF=心身機能・身体構造/活動/参加+環境因子・個人因子。②活動=個人が行う行為(歩く・着替える・余暇)。③参加=社会的な場面への関与。④手すりは環境因子、1人暮らしは背景因子。⑤つまずきは心身機能の問題。⑥ICIDHの否定的表現を中立的に改めたもの。
1分チェック
- ICFの『活動』とは何か。→ 個人が行う課題や行為の遂行。
この問題に対応する教材の確認中です。