A ちゃん(6 歳、女児)は food allergy 食物アレルギーがある食品を誤食し、5 分後に全身の urticaria 蕁麻疹と嘔気が出現した。その後2 回嘔吐し、喘鳴を伴う咳嗽が出現した。 最初に行う処置で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
食物アレルギーのある6歳女児が誤食後に全身の蕁麻疹、嘔吐、喘鳴を伴う咳嗽を呈した場面で、最初に行う処置を問う。アドレナリンの筋肉内注射である。
この問題で問われていること
アナフィラキシーの診断基準を満たすかを判断し、第一選択の治療を選べるか。
しくみから理解する
皮膚症状(全身の蕁麻疹)に加えて、呼吸器症状(喘鳴を伴う咳嗽)と消化器症状(嘔気・嘔吐)が急速に出現しており、アナフィラキシーと判断される。アナフィラキシーに対する第一選択はアドレナリンの筋肉内注射で、大腿前外側部(外側広筋)に投与する。アドレナリンはα1作用で血管を収縮させて血圧を保ち粘膜浮腫を軽減し、β1作用で心収縮力を高め、β2作用で気管支を拡張する。この複数の作用により、気道・呼吸・循環のすべてに同時に働くため、他の薬剤では代替できない。投与の遅れが致死的転帰と関連することが知られており、迷ったら投与するのが原則である。
選択肢ごとの確認
すでに吸収が始まり全身症状が出ている段階で行う意味がなく、嘔吐による誤嚥のリスクを高める。食物アレルギーの治療として胃洗浄は行わない。
循環管理のために必要になるが、最初に行う処置ではない。確保に時間を要する間にアドレナリン投与が遅れることが問題であり、アドレナリンは筋注で速やかに投与できる。
皮膚のかゆみや蕁麻疹には有効だが、効果が出るまでに時間がかかり、気道閉塞や血圧低下には効かない。急性期の中心的な薬剤とはならない。
ステロイドは効果発現までに数時間を要し、急性期の救命には間に合わない。二相性反応の予防目的で用いられることはあるが、最初の処置ではない。
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混同しやすいポイント
『まず抗ヒスタミン薬』『まず点滴』という発想が最も危険な誤りである。アナフィラキシーではアドレナリン筋注が最優先で、他はすべてその後に行う。また投与部位を『皮下注』と誤らないこと。筋肉内注射のほうが吸収が速く、大腿前外側部が推奨される。
理解を深める
アドレナリン自己注射薬(エピペン)は、アナフィラキシーの既往がある人に処方され、学校や保育所で本人・家族・教職員が使用できる。看護師は使用方法の指導と、緊急時対応計画(アクションプラン)の作成支援を行う。投与後は必ず救急要請し、医療機関で観察する。アナフィラキシーでは、いったん改善した後に数時間後に再燃する二相性反応が起こりうるためである。体位は、血圧低下があれば仰臥位で下肢挙上、呼吸困難が強ければ半坐位とし、急に立たせたり座らせたりしない(体位変換により急激に静脈還流が減り心停止に至る例が報告されている)。学校生活管理指導表を用いた情報共有、誤食予防の環境整備も重要である。
間違えやすい考え方
『最初に行う処置』を問う型で、5肢すべてが場面によっては行う処置である。優先順位を決めるのは『致死的な病態に直接効くか』という基準である。
5分で振り返る
①皮膚+呼吸器+消化器症状でアナフィラキシーと判断。②第一選択はアドレナリン筋注、大腿前外側部。③抗ヒスタミン薬・ステロイドは急性期の救命に間に合わない。④投与後は必ず救急要請、二相性反応に注意。⑤体位は下肢挙上、急に立たせない。⑥エピペンの使用指導と学校との共有。
1分チェック
- アナフィラキシーの第一選択は何か。→ アドレナリンの筋肉内注射(大腿前外側部)。
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