Kübler-Ross, E. キューブラー・ロス, E. による死にゆく人の心理過程のなかで、 lung cancer 肺癌と診断され た人が、喫煙をやめることで病気をなかったことにできるのではないかと考える段 階はどれか。
公式正答:3
解説
肺癌と診断された人が、喫煙をやめることで病気をなかったことにできるのではないかと考える段階を問う。取引である。
この問題で問われていること
死の受容過程の5段階を、具体的な言動から同定できるか。
しくみから理解する
キューブラー・ロスは、死に直面した人の心理過程を否認、怒り、取引、抑うつ、受容の5段階で記述した。取引の段階では、避けられない事実を先延ばしにしようとして、何らかの行為や約束と引き換えに延命や回復を得ようとする。『喫煙をやめれば病気がなかったことになるのではないか』という考えは、自分の行いを差し出すことで結果を変えようとする発想であり、この段階に当たる。しばしば神仏や運命に対する願いの形をとる。
選択肢ごとの確認
『なぜ自分が』という理不尽さへの憤りが、医療者や家族、周囲に向けられる段階である。
事実を受け入れ、心の平穏を取り戻す最終段階。あきらめや無感動とは異なり、静かに現実と向き合う状態である。
『何かの間違いではないか』と事実そのものを認めない段階。診断直後に多くみられ、心を守る防衛機制として働く。
失うものの大きさを実感し、深い悲しみに沈む段階。取引が通用しないと分かった後に訪れることが多い。
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混同しやすいポイント
取引と否認の区別が要点である。否認は事実そのものを認めない(『診断が間違いだ』)、取引は事実を認めたうえで条件をつけて変えようとする(『これをするから助けてほしい』)。設問文の『なかったことにできるのでは』という表現は否認に近くも読めるが、『喫煙をやめることで』という交換条件が示されているため取引と判断する。
理解を深める
5段階は必ずしも順番どおりに進むものではなく、行きつ戻りつし、いくつかが同時に現れることもある。すべての人が受容に至るわけでもない。したがってこのモデルは、患者の反応を段階に当てはめて評価するためではなく、揺れ動く心理を理解するための枠組みとして用いる。看護では、どの段階であっても否定せずに受けとめ、そばにいることが基本になる。怒りを向けられた場合も個人への攻撃と受け取らず、その背景にある苦悩を理解する。関連する概念として、フィンクの危機モデル(衝撃・防御的退行・承認・適応)、アギュララの問題解決モデルがあり、危機に対する介入の枠組みとして併せて学ぶ。
間違えやすい考え方
5段階の名称を知っていても、言動と段階の対応を練習していないと迷う。とくに設問文に交換条件が含まれているかを読み取れるかで決まる。
5分で振り返る
①否認=事実を認めない。②怒り=なぜ自分がという憤り。③取引=条件と引き換えに回復を願う。④抑うつ=喪失を実感し沈む。⑤受容=静かに現実と向き合う。⑥順番どおりに進むとは限らず、行き来する。
1分チェック
- 『〜すれば助かるのでは』と考える段階は何か。→ 取引。
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