病院の医療安全管理者が行う与薬の事故防止対策で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
病院の医療安全管理者が行う与薬の事故防止対策で適切なものを問う。与薬の業務プロセスを見直すことである。
この問題で問われていること
医療安全の考え方が、個人の注意ではなくシステムの改善にあることを理解しているか。
しくみから理解する
医療事故の多くは、注意深い人でも起こしうる状況(似た名称の薬剤、紛らわしい表示、中断の多い環境、複雑な手順)から生じる。したがって再発を防ぐには、個人に注意を求めるのではなく、誤りが起こりにくい仕組みへ業務プロセスを変えることが有効である。具体的には、指示から実施までの流れを可視化し、どこで誤りが混入するかを分析して、バーコード認証の導入、薬剤の配置と表示の変更、確認手順の簡素化と確実化、与薬中の中断を避ける仕組み(与薬中であることを示すベストなど)といった対策を講じる。
選択肢ごとの確認
責任追及は報告をためらわせ、事故の実態が見えなくなる。結果として同じ事故が繰り返される。医療安全では、意図的な違反や重大な逸脱を除き、個人を責めずに原因を分析する文化(Just Culture)が前提になる。
病棟ごとに手順が異なると、異動や応援の際に混乱が生じ、かえって事故の要因になる。病院全体で統一した手順を定め、必要な範囲で部署の特性を加えるのが原則である。
事故の分析に必要なのは、何がどのように起きたかという経緯であり、患者を特定できる情報を広く共有する必要はない。個人情報の保護に反するうえ、分析の目的にも合わない。
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混同しやすいポイント
医療安全の基本原則は『人は誤る(to err is human)』という前提に立ち、誤りを前提にした仕組みを作ることである。誤肢2は個人の責任、誤肢3は標準化の否定、誤肢4は個人情報の扱いの誤りで、いずれも安全管理の原則から外れる。
理解を深める
与薬の事故防止では、6R(正しい患者、薬剤、目的、用量、用法、時間)の確認が基本となる。加えて、指示受け、準備、実施、記録の各段階で誤りが混入しうるため、段階ごとに対策を置く。ハイリスク薬(インスリン、抗凝固薬、カリウム製剤、抗がん薬、麻薬)にはダブルチェックや専用の保管場所といった追加の対策を設ける。とくにカリウム製剤の原液急速静注は死亡事故につながるため、希釈済み製剤の採用など仕組みで防ぐ。インシデントレポートは、事故に至らなかったヒヤリ・ハットも含めて収集し、頻度と影響度から優先順位をつけて対策を講じる。医療安全管理者は、これらの分析、対策立案、研修の企画、部署の巡回、対策の効果評価を担う。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が『個人を責める』『部署ごとにばらばら』『情報を広げる』という、いずれも安全文化に反する方向で作られている。システムで防ぐという原則を持っていれば選べる。
5分で振り返る
①人は誤るという前提でシステムを設計する。②個人の責任追及は報告を減らし再発を招く。③手順は病院全体で統一する。④6Rの確認が基本、ハイリスク薬には追加対策。⑤ヒヤリ・ハットも収集して分析する。⑥対策は効果を評価して改善を続ける。
1分チェック
- 与薬事故を防ぐために何をするか。→ 業務プロセスを見直して誤りが起こりにくい仕組みにする。
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