加齢に伴う高齢者の泌尿器系の変化で正しいのはどれか。2 つ選べ。
公式正答:3・4
解説
加齢に伴う高齢者の泌尿器系の変化で正しいものを2つ選ぶ。膀胱収縮力の低下と、尿細管の基底膜の肥厚である。
この問題で問われていること
加齢による腎・膀胱の構造と機能の変化を、方向を含めて把握しているか。
しくみから理解する
加齢により、膀胱の平滑筋は減少して線維化が進み、収縮力が低下する。その結果、排尿しても膀胱を空にしきれず残尿が増える。同時に膀胱の容量も減少し、蓄えられる量が減るため排尿回数は増える。腎では、糸球体の硬化と数の減少、尿細管の萎縮と基底膜の肥厚といった構造変化が生じ、糸球体濾過量は低下する。尿を濃縮する能力も低下するため、夜間に多く尿が作られ夜間頻尿の一因となり、また脱水を起こしやすくなる。
選択肢ごとの確認
逆で低下する。抗利尿ホルモンへの尿細管の反応性が低下し、髄質の浸透圧勾配も保ちにくくなるため、尿を濃くできない。これが高齢者が脱水になりやすい理由の一つである。
逆で増加する。膀胱容量の減少、残尿の増加、夜間の尿量増加により、日中も夜間も回数が増える。
逆で低下する。おおむね40歳以降、年に1mL/分程度ずつ低下するとされる。血清クレアチニンは筋肉量にも左右されるため、高齢者では見かけ上正常でも腎機能が低下していることがあり、薬剤の投与量調整に注意を要する。
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混同しやすいポイント
誤肢3つがすべて『方向の逆』で作られている。加齢では『濃縮力↓、GFR↓、膀胱容量↓、収縮力↓、残尿↑、排尿回数↑』とまとめて覚える。増えるのは残尿と回数だけ、と押さえると迷わない。
理解を深める
これらの変化は臨床上の重要な帰結をもたらす。腎機能の低下により、腎排泄型の薬剤(ジゴキシン、多くの抗菌薬、H2受容体拮抗薬など)が蓄積しやすく、副作用が出やすい。処方時には推算糸球体濾過量(eGFR)やクレアチニンクリアランスで評価する。尿濃縮力の低下と口渇感の減弱により脱水が進みやすく、それが意識障害やせん妄、転倒の引き金になる。夜間頻尿は睡眠を妨げ、夜間のトイレ移動は転倒・骨折の主要な場面になる。看護では、日中の適切な水分摂取、就寝前の過剰な飲水の調整、夜間の安全な動線の確保、排尿パターンの記録による評価を行う。
間違えやすい考え方
『2つ選べ』の複数選択で、方向を問う型。1つの方向を確実に知っていれば、他も同じ向きで揃うため全部判定できる。
5分で振り返る
①膀胱は収縮力低下・容量減少→残尿増加・回数増加。②腎は糸球体硬化、尿細管萎縮と基底膜肥厚→GFR低下。③尿濃縮力低下→夜間頻尿と脱水しやすさ。④腎排泄型薬剤が蓄積しやすい、eGFRで評価。⑤夜間のトイレ移動は転倒の好発場面。
1分チェック
- 加齢で膀胱と腎はどう変わるか。→ 膀胱収縮力は低下、尿細管基底膜は肥厚(GFRと濃縮力は低下)。
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