左冠動脈閉塞による急性心筋梗塞で死亡した。肺にみられる変化として適切でないのはどれか。
正答:2
正答:2
左冠動脈の閉塞による急性心筋梗塞では左心室のポンプ機能が低下し(左心不全)、その手前にある肺に血液が停滞して肺うっ血が生じる。うっ血が進むと毛細血管圧上昇で水分が血管外へ濾出し肺水腫、漏出性出血も加わる。これらに対し、塞栓は肺(小循環)には直接生じないため『適切でない』。
左冠動脈閉塞→急性心筋梗塞→死亡という経過で、肺に生じる変化として『適切でない』ものを選ぶ否定問。肺うっ血から派生する変化(うっ血・水腫・出血)と、肺には生じない塞栓を区別する。
教科書によれば、左心不全では肺静脈→肺の血液流出が妨げられ慢性/急性の肺うっ血が生じる。うっ血部では静脈圧・毛細血管圧が上昇し透過性が亢進、水分が組織へ濾出して水腫(肺水腫)を生じ、漏出性出血も加わる(肺胞内に心不全細胞=ヘモジデリンを貪食したマクロファージが出現)。一方、心筋梗塞で心内膜側にできた血栓は脳など大循環系へ塞栓するのであって、肺(小循環=右心系の灌流先)には流出しない。したがって肺にみられる変化として適切でないのは塞栓(正答2)。
否定問なので『肺に生じる正常な帰結(うっ血・水腫・出血)』を選ばないよう注意。左心系の血栓は大循環(脳等)へ塞栓する=肺へは行かない、という血流方向で塞栓を除外する。
教科書:左心不全→肺うっ血→毛細血管圧上昇→水分濾出(肺水腫)+漏出性出血。心筋梗塞では心内膜側に血栓が付着し、それが脳などへ塞栓しやすい(大循環系塞栓)。肺は右心系(小循環)の灌流先なので、左心系由来の血栓は肺には届かない。なお肺塞栓(肺梗塞)は下肢静脈血栓→右心→肺動脈という別経路で起こるものであり、本設問の『左冠動脈閉塞による心筋梗塞』の肺の変化としては塞栓は当てはまらない。
否定問の取り違え(適切なものを選んでしまう)。左心系の血栓が大循環(脳)へ向かう向きを固定し、肺=小循環には左心系塞栓が来ないと判断して塞栓を除外する。
左冠動脈閉塞→急性心筋梗塞→左心不全→肺うっ血→肺水腫・出血の連鎖を説明する。心内膜側の血栓が大循環(脳)へ塞栓する向きを言う。なぜ肺に塞栓が当てはまらないか(小循環の灌流先)を説明する。