リンパ節腫脹の原因で誤っているのはどれか。
正答:3
正答:3
リンパ節は炎症あるいは腫瘍によって腫脹する。教科書はリンパ節腫脹の原因として、二次性リンパ節炎・リンパ節結核・伝染性単核(球)症・梅毒などの感染症、悪性リンパ腫、白血病、悪性腫瘍のリンパ節転移を挙げている。鼠径ヘルニアはこのリストに含まれず、リンパ節腫脹とは別の触診所見である。
選択肢のうち『リンパ節腫脹の原因として誤っている』ものを1つ選ぶ問題。リンパ節腫脹をきたす病態と、鼠径部で触れる別の腫瘤(ヘルニア)を区別できるかを問うている。
リンパ節は全身に分布し免疫機能をつかさどる。皮膚・粘膜の化膿巣があるとその所属リンパ節が炎症性に腫脹する(二次性リンパ節炎)。白血病、ことに慢性リンパ性白血病では全身性にリンパ節が腫脹し、悪性腫瘍の癌細胞が転移するときわめて硬いリンパ節腫脹を形成する(例:胃癌のウィルヒョウリンパ節転移)。一方、鼠径ヘルニアは鼠径部に軟らかい腸管状の腫瘤として触知される所見であり、教科書では鼠径ヘルニアとは別項目として『鼠径部ではリンパ節腫脹の有無についてもよく確認する』と記載され、両者は区別されている。
鼠径部は深鼠径リンパ節が分布する部位でもあり、リンパ節腫脹も鼠径ヘルニアも同じ鼠径部の腫瘤として現れうる。教科書は鼠径ヘルニア(軟らかい腸管状・体位で変化)とリンパ節腫脹を別所見として並記しており、同じ部位でも病態が異なる点が紛らわしい。
教科書のリンパ節腫脹の分類:(1)二次性リンパ節炎=軟らかく圧痛あり発赤、(2)リンパ節結核=弾性硬で発赤・熱感を伴わず周囲と癒着、(3)伝染性単核症=EBウイルス・20歳前後・軟らかく小豆大〜母指頭大、(4)梅毒、(5)悪性リンパ腫=弾性軟〜弾性硬・発赤熱感なし、(6)白血病=全身性・圧痛癒着なし、(7)悪性腫瘍のリンパ節転移=きわめて硬く表面不整。硬さ・圧痛・癒着の有無が原因疾患の鑑別に重要。鼠径ヘルニアはこのいずれにも該当しない。
鼠径部という部位の共通性に引きずられて『鼠径ヘルニアもリンパ節腫脹の一種』と誤認する罠。部位ではなく病態(リンパ節そのものの腫大か、腸管の脱出か)で区別する。
リンパ節腫脹の7原因(二次性リンパ節炎・結核・伝染性単核症・梅毒・悪性リンパ腫・白血病・悪性腫瘍転移)を硬さ/圧痛/癒着の3軸で整理する。鼠径部では『リンパ節腫脹』と『鼠径ヘルニア』が別所見として確認される点を、教科書の鼠径部触診の記載で押さえる。