外傷とその原因の組合せで正しいのはどれか。
正答:2
正答:2
膝を曲げた姿勢で膝の前からダッシュボードに突き当たると、大腿骨頭が後方へ押し出されて股関節が脱臼する。正答は2。
どちら向きの力がどこに加わって外傷が起こるかを、機序で説明できるか。
外傷は「どの肢位で、どの方向の力が、どこに加わったか」で決まる。自動車の前席で膝がダッシュボードに当たると、大腿骨の長軸に沿って後ろ向きの力が伝わる。股関節と膝が曲がった座位ではこの力が骨頭を寛骨臼の後縁へ押しつけるので、後方脱臼が起こる。これがダッシュボード損傷。誤肢は3つとも力の向きや部位が逆である。手舟状骨骨折は転倒して手をつき、手関節が背屈(手をついて反り返る)したときに起こる。掌屈ではない。上腕骨顆上骨折は小児が転倒して肘を伸ばしたまま手をつき、肘に過伸展の力が加わって起こる。上肢を急激に牽引して起こるのは肘内障。第5中足骨基部の裂離骨折は、足部が内がえし(内反)したときに短腓骨筋腱が基部を引きはがして起こる。外がえしではない。
「牽引」と「圧迫」、「内がえし」と「外がえし」、「背屈」と「掌屈」という対の言葉が入れ替えられている。受傷機転を思い出すときは、そのときの肢位を実際に想像して、どこが引き伸ばされ、どこが押しつぶされるかを考えると方向を間違えない。裂離骨折は腱や靱帯が引っぱって骨をはがすので、その筋が伸びる向きの動きが原因になる。
股関節後方脱臼では、患肢が屈曲・内転・内旋位をとり、下肢が短縮して見える。坐骨神経が近くを通るため合併損傷に注意し、整復が遅れると大腿骨頭壊死のリスクが高まる。手舟状骨骨折は嗅ぎタバコ入れ(解剖学的嗅ぎたばこ窩)の圧痛が手がかりで、初期のエックス線では写らないことがあり見逃されやすい。上腕骨顆上骨折はフォルクマン拘縮という重い合併症をきたしうる。
外傷と受傷機転の組合せを並べ、方向を示す語だけを入れ替える。解法は、(1) その外傷が起こるときの肢位を思い浮かべる、(2) 力の向きを決める、(3) 選択肢の方向語が一致するかを確認する。
膝がダッシュボードに当たると大腿骨長軸に後ろ向きの力が伝わり、股関節が後方脱臼する。手舟状骨骨折は掌屈ではなく背屈、上腕骨顆上骨折は牽引ではなく過伸展、第5中足骨基部裂離骨折は外がえしではなく内がえし。方向語の入れ替えが誤肢の型。