「65歳の男性。左片麻痺と意識障害を生じた。頭部CT検査にて右被殻出血と診断され、保存的治療を受けた。リハビリテーションの評価において視覚の見落としが著明であった。」適切な対応はどれか。
正答:3
正答:3
左側に気づけないままだと、左側の段差や障害物にぶつかって転ぶ。だから段差に注意するよう伝える。正答は3。
障害の中身から、その人に必要な対応を選べるか。
半側空間無視では、左側にあるものが目に入らないのではなく、そちらへ注意が向かない。したがって危ないのは、左側にある段差、壁の角、置かれた物、通行人である。本人は避けたつもりで進むのでぶつかり、転倒につながる。対応の要は、危険が左側にあることを本人に意識づけ、進む前に左側を確認する習慣をつけてもらうこと。選択肢のなかでこれにあたるのが、段差に気を付けるよう指導することである。誤肢はいずれも別の障害への対応にあたる。
選択肢4も注意に関わるので迷いやすい。しかし「一度に多くのことができない」のと「片側に気づけない」のは別で、後者に必要なのは課題を減らすことではなく、見落とす側を意識させることである。障害の中身を一言で言い換えてから対応を選ぶと取り違えない。
半側空間無視への手立てには、無視する側から声をかける、食器やベッドの配置を工夫する、進む前に左を見る習慣をつける、鏡やプリズム眼鏡を使うといった方法がある。回復の過程では、指摘されれば気づけるようになり、やがて自分で確認できるようになる。介護者が「なぜ見ないのか」と責めないことも大切で、本人にとっては見えていないのではなく、そこに世界があると感じられていない。
対応を4つ並べ、それぞれ別の高次脳機能障害に対する正しい手立てにする。解法は、(1) この人の障害を一言で言い換える、(2) 各対応がどの障害に効くかを割り当てる、(3) 一致するものを選ぶ。
左側に気づけないので、左側の段差や障害物で転びやすい。だから段差への注意を促す。メモは記憶、動作を促すのは意欲、課題を減らすのは注意の量への手立てで、いずれも見落としには効かない。