「70歳の男性。車を停車中に左上肢を伸ばし後部座席の物を取ったところ、肩峰部に激痛を感じた。肩関節部を他動的に外転させても、自力で外転位を保持できない。」診察所見で適切なのはどれか。
正答:1
正答:1
症例は70歳男性が上肢を伸ばす動作で肩峰部に激痛、その後『他動的に外転させても自力で外転位を保持できない』というもの。これは腱板(とくに棘上筋腱)断裂を示唆する典型像で、外転位を保持できないこと自体を確かめる診察所見を問う。
『他動で外転させても自力で外転位を保持できない』という症例文に対応する診察所見を選ぶ。外転位を保持できるかを調べる検査が問われている。
腱板(棘上筋)が断裂すると、他動的に挙上・外転させた上肢を自力で外転位に保持できず、支えを外すと腕が落ちてしまう。これを調べるのがドロップアームテストで、外転位を保持できなければ陽性。症例文の『自力で外転位を保持できない』は、まさにドロップアームテスト陽性に対応する所見である。なお教科書は有痛弧徴候(painful arc sign)も腱板断裂の代表的所見と記すが、本症例で問われているのは『外転位を保持できるか』を調べる検査であり、それに直接対応するのはドロップアームテストである。
腱板断裂の所見にはドロップアームテスト陽性と有痛弧徴候(ペインフルアーク)陽性の両方があるが、本症例文が問うのは『他動外転後に自力で外転位を保持できるか』である。この『保持できない=落ちる』を直接確かめるのがドロップアームテストである点を読み取る。痛みの弧(painful arc)は別の所見。
腱板は肩関節を安定させる棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋からなる。とくに棘上筋腱は外転の主要な動的安定化に関与し、ここが断裂すると外転位を保持できず腕が落下する。教科書の肩関節周囲炎の項では、拘縮がない場合に腱板断裂や上腕二頭筋長頭腱障害を示唆し、有痛弧徴候(外転60〜120°で痛む)が腱板断裂の代表的所見と記載される。高齢者が上肢を伸ばす・牽引される動作の後に肩峰部痛+外転位保持不能となれば腱板断裂を強く疑う。
腱板断裂の所見として『ペインフルアーク陽性』も正しい所見であるため、選択肢2に誘導されやすい。しかし本症例文は『外転位を保持できるか』を問うており、それに直接対応する検査(ドロップアームテスト)が正答。症例文のキーフレーズ(自力で外転位を保持できない)と検査内容を一対一で対応させる。
腱板(棘上筋)断裂=高齢者・牽引/外転負荷後・肩峰部痛・外転位保持不能。診察は『外転位を保持できるか=ドロップアームテスト』が直結。ペインフルアーク(外転60〜120°で痛む)も腱板断裂の所見だが、本症例が問う『保持の可否』にはドロップアームテストが対応する。