「70歳の男性。車を停車中に左上肢を伸ばし後部座席の物を取ったところ、肩峰部に激痛を感じた。肩関節部を他動的に外転させても、自力で外転位を保持できない。」診断確定のための検査で最も適切なのはどれか。
正答:3
正答:3
腱板断裂は腱=軟部組織の損傷であり、その確定診断には軟部組織を最もよく描出できる画像検査を選ぶ。各画像法の得意・不得意を理解しているかを問う問題。
腱板(軟部組織)の断裂を確定診断するのに最も適切な検査を1つ選ぶ。骨ではなく軟部組織を描出する能力で選ぶ。
教科書の画像診断の記述によれば、エックス線撮影は骨や肺の描出に優れる一方で軟部組織の描出は不得手。CTは整形外科では骨の断層撮影に威力を発揮するが、骨に囲まれた狭い構造部位では解像力に限界がある。MRIはCTと比べて脳・脊髄・関節腔などで画像描写の精密さが優れ、放射線被曝もない一方で骨の描写力は劣る。つまりMRIは軟部組織(腱板)の描出に最も優れ、腱板断裂の確定診断に最適。筋電図は神経・筋の電気活動をみる検査で、腱の断裂を画像として確定する検査ではない。
『腱板=軟部組織』を最もよく写すのはMRIという軸で考える。X線・CTは骨が得意で軟部は不得手、MRIは軟部・関節腔が得意で骨は不得手、筋電図は画像検査ですらない。何を写したいか(軟部組織)と各検査の得意分野を対応させる。
教科書の画像診断総論では、X線は簡便で骨・肺に有用、CTは骨の断層に威力だが狭い骨内構造で解像に限界・被曝多め、MRIはCTと比べ脳/脊髄/関節腔で精密・任意断面が可能・無被曝だが骨描写は弱い、と整理されている。腱板断裂は関節腔周囲の軟部組織病変であるため、関節腔・軟部の描出に優れるMRIが確定診断に最適。なおペースメーカーや脳動脈瘤クリップなど体内金属がある場合はMRI禁忌となる点も付随知識。
整形外科=骨=X線/CT、という先入観でX線やCTを選ばせる引っかけ。腱板は『軟部組織』であることに気づけばMRI一択。筋電図を『電気だから何か診断できそう』と誤選択させる手口にも注意(画像検査ではない)。
画像検査の使い分け:X線=骨・肺、CT=骨の断層(狭い骨内は限界)、MRI=軟部組織・脊髄・関節腔(無被曝・骨は弱い)、筋電図=筋/神経の電気活動。腱板断裂は軟部組織病変なのでMRIが確定診断に最適、と結びつける。