問87
「55歳の女性。2か月前から背部の鈍痛が続いていたが放置していた。発熱はないが、食欲不振、体重減少、倦怠感がある。」最も疑われる疾患はどれか。
この問題の分類段階3 応用症例や条件を判断材料にする問題
正答:4
正答:4
中年女性の持続性背部鈍痛・食欲不振・体重減少・倦怠感、発熱なし、放置できる程度の軽微な痛み、という経過から最も疑う疾患を選ぶ症例問題。公式正答は『膵臓癌』。
背部鈍痛+全身症状(食欲不振・体重減少・倦怠感)・発熱なし、という症候の組合せから最も疑わしい疾患を絞り込む。
膵癌は初期に食欲不振・悪心嘔吐などの不定愁訴、あるいは上腹部痛・背部痛がみられるが、軽微なためそのまま放置されることが少なくない。進行すると体重減少・黄疸・褐色尿が出現する。膵頭部以外では一般に進行するまで無症状のことが多い。本症例の『2か月の背部鈍痛を放置』『体重減少・食欲不振・倦怠感』はこの経過に合致する。
尿路結石も腰背部痛を起こすが、結石は急性の激しい疝痛で『放置できる2か月の鈍痛』にはならない。発熱の有無で腎盂腎炎を除外できる。
膵臓は後腹膜腔にあるため、触診で腫瘤を触れるのはかなり進行してから。診断には腹部超音波・CT・MRI、ERCP、MRCPを用いる。腫瘍マーカーCA19-9が特異性が高い。膵癌は高齢男性に多いが女性で増加傾向。
腰背部痛=尿路結石・腎疾患という安易な連想を誘う。膵癌は『軽微な背部痛を放置→体重減少』という慢性消耗パターンで見抜く。
膵癌の初期症状(食欲不振・不定愁訴・上腹部/背部痛が軽微で放置されやすい)→進行期(体重減少・黄疸・褐色尿)。後腹膜臓器ゆえ触診困難、画像(US/CT/MRI/ERCP/MRCP)・CA19-9で診断。