「55歳の男性。強度近視。夕方デスクワーク中、右眼で黒く動く小さな糸くず状のものが見えた。」次第に症状は悪化し、右眼で下から上へ視野欠損も生じてきた。考えられる疾患はどれか。
正答:3
正答:3
飛蚊症のあとに視野が下から上へ欠けてきた。網膜がはがれて、はがれた部分に対応する視野が見えなくなっている。正答は3。
視野の欠け方と経過から、網膜がはがれていることを読めるか。
網膜がはがれると、その部分では光を受け取れなくなるので、対応する視野が欠ける。眼球の中では像が上下左右とも反転して映るため、網膜の上側がはがれると視野は下側から欠け、それが広がるにつれて欠損が下から上へ進むように感じられる。この症例は飛蚊症が先にあり、そのあと視野が下から上へ欠けてきたという経過なので、硝子体が網膜を引っぱって裂け目を作り、そこから網膜がはがれてきたと読める。強度近視という背景も、網膜が薄く裂けやすいことと一致する。誤肢は欠け方や経過が合わない。
視野の欠け方には、疾患ごとに決まった形がある。周辺からゆっくりなら緑内障や網膜色素変性症、中心が抜けるなら黄斑の障害、区切られた一部が急に欠けるなら網膜剥離。さらに、網膜と視野は上下左右が逆になるという一点を押さえると、はがれた場所まで言い当てられる。
網膜剥離は、飛蚊症の増加や光視症が前触れとして現れ、視野の欠けが中心にまで及ぶと視力が大きく落ちる。中心に達する前に手術できるかどうかで結果が変わるため、急ぐ疾患である。強度近視、加齢、眼の打撲、糖尿病網膜症、白内障手術後などが背景になる。施術所で片眼の視野が欠けてきたという訴えを聞いたら、その場で眼科への受診をすすめる。
眼疾患を4つ並べ、視野の欠け方と進む速さで区別させる。解法は、(1) 欠け方の形(周辺・中心・区切られた一部)を確認、(2) 進む速さを確認、(3) 先行する症状との順序を確認する。
飛蚊症に続いて視野が下から上へ欠けてきたのは、網膜の上側がはがれたため。網膜と視野は上下が逆になる。緑内障と網膜色素変性症は周辺からゆっくり、白内障は全体がかすむ。中心に及ぶ前の手術が要る。